片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党前川崎市議会議員
市議会傍聴レポート(議会活動報告) 活動レポート

重層的な困難を抱える定時制高校生のサポートに、専門的スタッフなど手厚い体制で【予算審査特別委員会質問】

2016年3月12日

DSC074083月8日の市議会予算審査特別委員会で、定時制高校の居場所づくりと学習・就労支援について質問しました。これまでの定時制高校生の就労・学習支援事業をどう引き継ぐのかという問題、重層的な困難を抱える定時制高校生をサポートするために、専門的スタッフなど体制の強化をすすめるべき、と教育長に求めました。他に、▼ヘイトスピーチによる人権侵害の実態調査を、▼給付制大学奨学金の創設、▼町内会館自治会館の整備補助、▼簡易宿泊所の火災対策と転居支援、についての質問についても質問しました。

これまでの定時制高校生の就労・学習支援事業をどう引き継ぐのか

次に、魅力ある高校教育の推進事業費について伺います。新年度予算案で、定時制高校で「居場所づくり」とあわせた進学や就職にむけた支援事業を行うとされています。日本共産党は寄り添い型の高校生の就労支援を提案してきましたので、重要な一歩だと、受け止めています。

私たちが市立定時制高校を訪問するたびに、いじめや不登校の経験、経済的な困難、低い自己肯定感など、生徒が重層的に抱える生きづらさや複雑な家庭環境への対応に、教育現場の皆さんが苦労されている実態を伺ってきました。社会の矛盾が集中している定時制高校の生徒が教育から職業へスムーズに移行できるように支援することは社会全体のためにも重要です。

2013年度の経済労働局、14・15年度の健康福祉局に続き、来年度は教育委員会事務局がこの事業を担うことになりますが、これまでの事業をどのように引き継いで発展させ、どのような問題意識と目的をもって行うのか伺います。

答弁

市立高校定時制生徒への自立支援事業についての御質問でございますが、定時制に在籍する生徒は、「中途退学や不登校を経験した者」「経済的に困難な家庭の者」「特別な支援を要する者」「海外とのかかわりが深く言葉の支援を要する者」が多いなど様々であり、全日制に比べ中途退学をする者の割合が高いこどは大きな課題であると認識しております。
これまでの取組といたしましては、市立川崎高校において、平成25年度には経済労働局による就労支援の事業が行われ、専門的な知識をもつ就労支援員が定期的に学校に配置されることで、主に4年生を対象に具体的な就職活動に向けた支援の充実が図られました。平成26・27年度には健康福祉局による居場所づくりを中心としたカフェ形式の事業が行われ、生徒が自由に参加できる場に年齢の近い身近な存在となるスタッフが配置されるこど
で、様々な課題や不安を抱える生徒の居場所づくりや学習を行うきっかけづくりが行われるとともに、保護者や教員にはなかなか相談できないような悩みなどを気軽に相談できる体制がつくられました。
教育委員会といたしましては、これらの事業を総合的に取り入れたうえで、主に中途退学率が高い1・2年生への効果が期待できる「生徒の居場所づくり」や「相談体制の確立」「基礎学力の定着」などに取り組み「中途退学の防止」を図ってまいります。また、 3 ・ 4年生を中心に効果的な進路指導が期待できる「就労支援j を充実することで、具体的な就職活動に向けた支援の充実が図られるよう、モデル校にて検証してまいります。

重層的な困難を抱える定時制高校生をサポートするために、専門的スタッフなど体制強化を②

次に、学校現場との連携と体制づくりについて伺います。私たちが数回視察してきた県立田奈高校もいわゆる「困難校」ですが、生徒に寄り添うキャリア支援・学習支援を全国に先駆けて行ってきました。校内に「キャリア支援センター」を設置し、校外の様々な資源も活用した支援を行った結果、7~8%という中退率が数年後には3%程度と半減しています。

訪問した当時の田奈高校は、センター長に副校長を配置し、授業時間を軽減させたセンター担当教員が2人、他に就職指導支援員と相談支援員が1人ずつ、さらに若者サポートステーションから2人が配置されていました。多忙な学校現場で外部との連携を機能的に行うためには、学校側と強く連携した手厚い体制なしにはできません。また重層的に困難を抱える生徒に対しては、社会資源を活用して家庭も含めてサポートしていくことができるスタッフが必要です。体制や人員配置についての見解を伺います。

定時制高校の就労支援には独特の困難があります。田奈高校にはキャリアコンサルタントの資格を持つ就職支援員が配置されていましたが、このモデル事業では就労支援の専門的知識や経験を持つスタッフは置かれるのでしょうか。伺います。こうした専門的な経験を積んだ能力のあるスタッフの配置を含めた体制の構築を今後の検討課題とするべきですが、見解を伺います。

答弁

事業に携わる人材についての御質問でございますが、就労支援においては、「コネクションズかわさき」や「キャリアサポートかわさき」のスタッフなど専門的な知識や経験、キャリアカウンセラーの資格を有する外部人材を活用することが有効であり、また、居場所づくりや学習支援においては、生徒と良好な関係を築きながら学習支援ができ、身近な相談相手となれる外部人材を活用することが効果的であると捉えております。
また、このような外部人材は、支援の過程において、生徒の抱える課題などを把握することも想定されますので、教員は外部スタッフとの連携を密にしながら情報を共有し、生徒の状況によっては関係機関にっなげるなど適切な支援を行うことが大切だと考えております。
平成28年度につきましては、川崎高校定時制においてモデル事業を行ってまいりますが、市立高校定時制における中途退学率は、ここ数年10%を超える高い数値を示しており、学校では「中途退学の防止」を最も大きな課題としておりますので、「居場所づくり」や「学習支援」を中心とした支援の充実が図られるよう外部人材の配置を行ってまいります。また、「就労支援」の充実につきましては、学校が関係機関と連携し、適切な外部人材が活用できるよう、教育委員会としても支援してまいります。

要望

定時制高校生の困難な生活実態を受け止めて必要な手立てがとれるように、学校と連携して速やかに解決につなげられる体制をとるよう要望します。また、このモデル事業をさらに発展させて全定時制高校に広げていくことを要望します。

片柳すすむ

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