片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党前川崎市議会議員
市議会傍聴レポート(議会活動報告)

市民ミュージアム 収蔵品を守れなかった責任に向き合い真摯な対応を

2023年2月16日

2020年4月23日に東日本台風の検証報告書についての代表質疑で、市民ミュージアムの浸水被害についてかなり詳細に追及しましたが、ブログに記録していなかったことに気が付きました。取り急ぎ、質疑の本文のうち私の担当した市民ミュージアム部分だけピックアップしておきます。

質問1 氾濫危険水位を超えた状況をどう受け止めたのか

 市民ミュージアムについてです。検証結果では、過去の台風でもミュージアムが浸水した実績がないことなどを理由に、内水氾濫の要素を除くと、台風による風雨への対応としては事前及び接近後も必要な対策は取られていたとしています。

しかし、台風により多摩川の氾濫が起こり得ること、その際には、ミュージアムでは5メートルから10メートルの浸水があり得ることを想定して対策を取っておけば、収蔵品の被害は最小限にとどめられたのではないでしょうか。

東日本台風は史上最大規模の台風などと連日報道されていました。また、10月12日16時30分には、田園調布(上)水位観測所で、いつ氾濫してもおかしくない状態と言われる警戒レベル4の氾濫危険情報が発表されました。当分の間、氾濫危険水位を超える水位が続く見込みと報道されていました。当然、氾濫危険水位を超えたとの情報に接した時点で、市と指定管理者には想定し得る最大規模の5メートルから10メートルの浸水想定を視野に入れた対応が求められていたはずです。しかし、市の対応は、その後の18時の時点で、指定管理者に対し、状況に変化があれば連絡するように指示することにとどまりました。氾濫危険水位を超えたという状況を12日の夜の段階でどのように捉えていたのか伺います。

先日の文教委員会では、厚い扉で守られ、温度と湿度も管理されている地下収蔵庫から収蔵品を移動させること自体にリスクがあると言われましたが、収蔵品の移動のリスク検討が行われた事実はなかったとのことでした。少なくとも氾濫危険水位を超えた時点で、多摩川の氾濫の場合に5メートル以上の浸水になり得ることを踏まえて、緊急に収蔵品の移動のリスク検討などを行うべきだったのではないでしょうか。伺います。

答弁1

 市民ミュージアムについての御質問でございますが、初めに、12日夜間の市の対応につきましては、多摩川の水位情報をインターネットやテレビ等を通じて状況の把握に努め、特に氾濫危険水位を超えた時点から多摩川の越水について注視しておりましたところ、内水氾濫により浸水したものでございます。次に、収蔵品の移動につきましては、リスクを伴う収蔵品の移動を実施する検討は行っておりませんでしたが、今後は、仮設ユニットハウスに一時保管している作品、資料は、温湿度管理が可能な外部倉庫に移し、移し切れなかった作品、資料については、可能な限り施設上層階へ移動させる対応を考えております。以上でございます。

質問2 市民に「全員避難を」と呼びかけながら、ミュージアムは「注視」?!

市民ミュージアムについてです。多摩川がいつ氾濫してもおかしくない状態とされる警戒レベル4の氾濫危険情報が出された時点で、最大規模の5メートルから10メートルの浸水に備えておけば、内水氾濫にも対応できたのではないかと質問したのに対し、多摩川の越水を注視していたということだけで、全く聞いていることに答えていません。

氾濫危険情報が出されるとともに、市は避難勧告を発令し、避難が必要な住民には、近くの避難所等の安全な場所に立ち退き避難を行ってくださいと呼びかけています。昨年6月には、市民が主体的に避難行動が取れるように、避難勧告等に警戒レベルを付与して発令することを発表、警戒レベル4で全員避難と強調しています。市民には全員避難を呼びかけながら、市民ミュージアムの対応は注視していたというのでは矛盾しています。しかも、国交省サイトの多摩川の氾濫シミュレーションでは、多摩川が氾濫した場合に、市民ミュージアムは10分後には3メートルまでの浸水が始まり、30分後には最大5メートルから10メートル未満の浸水に達します。多摩川の越水を注視していたという対応で本当に十分だったと言えるのか、市民文化局長に伺います。

答弁2

市民ミュージアムについての御質問でございますが、来館者の生命、安全の確保の観点から、台風が上陸する前日に臨時休館を決定いたしました。宿直の施設スタッフについては、氾濫危険水位を超えた時点から、多摩川の越水について注視し、越水した場合の自らの生命、安全を守る行動に備えておりましたが、多摩川は越水しなかったものの、内水氾濫に対する排水作業中に急激に水位が上昇し、太ももまで達したため、全員が3階へ退避したところでございます。以上でございます。

質問3 警戒レベル4の「洪水警報」「氾濫危険情報」にふさわしい対応をなぜしなかったのか

 市民ミュージアムの浸水被害についてです。宿直スタッフの生命と安全は何より優先して守らなければなりません。しかし、質問したのはそのことではなく、警戒レベル4の氾濫危険情報が出されていたにもかかわらず、想定される5メートルから10メートルの浸水に備えなかった対応が十分と言えるのかということです。

氾濫危険情報は、10月12日16時30分に発報されています。その直後の18時に指定管理者から市に風雨が強まった状況について連絡があり、市は「状況に変化があれば連絡するように」と指示しています。状況に変化があればと言いますが、多摩川氾濫が起きれば、10分後に最大3メートルの浸水が始まり、30分後には5メートルから10メートルまでの浸水になると想定しているのです。変化があったときに連絡が来ても、すぐに水が来るのです。

昨年6月に警戒レベル4の洪水について市が強調した段階でもなお、多摩川の氾濫の危険性が高くなった場合の対応について整理せず、収蔵品のリスク管理を含め、危機管理マニュアルなども更新しなかったのはなぜか、市民文化局長に伺います。

いつ氾濫が起きてもおかしくない状態とされる警戒レベル4の氾濫危険情報が出された16時30分の時点で、担当課長のみならず、室長、局長も含めて、多摩川の氾濫があり得ると考えることができたはずです。この時点でスタッフの命を守る対応をはじめ、市民ミュージアムの収蔵品の扱いについても協議をし、そのときからできる限りの対策を取るべきでした。

そうした対応をした結果、間に合わずに被災したのならともかく、警戒レベル4にふさわしい対応が行われていなかったことが最大の問題です。警戒レベル4の氾濫危険情報に接した時点で市民ミュージアムの対応について協議を行わなかったのはなぜか、市民文化局長に伺います。

答弁3

市民ミュージアムについての御質問でございますが、初めに、危機管理マニュアルの更新についてでございますが、警戒レベル4における対応は、安全な場所に避難するなど人命を守る行動を促すものであり、収蔵品につきましては、収蔵庫内での管理を前提としていることから、リスクを伴う収蔵品の移動は想定しておらず、指定管理者に対してマニュアル等の改善指導は行ってこなかったところでございます。次に、氾濫危険情報発表後の対応についてでございますが、臨時休館の措置を行っていたことから、来館者への対応の指示は必要なく、また、マニュアル等において、収蔵品の移動は想定していなかったため、協議等は行わなかったものでございます。以上でございます。

意見 対応の誤りを事実上認め、責任に真摯に向き合うべき

市民ミュージアムについてです。多摩川が氾濫を起こした場合の最大規模の浸水想定である5メートルから10メートルに備えていれば、収蔵品の被害を防げた可能性が十分にありました。しかし、実際には、いつ氾濫してもおかしくないとされる氾濫危険情報に接してもなお、状況に変化があったら報告するようにと指示しただけで、氾濫した場合の最大の想定である5メートルから10メートルの浸水に備えて収蔵品の移動を行わず、移動の際のリスク検討すらされていませんでした。

市民に全員避難を求める一方で、市民文化局は市民ミュージアムの対応についての協議も行わなかったとのことで、検証報告書の台風による風雨の対応としては、事前及び接近後も必要な対策が取られていたという記述とは程遠い実態だったと言わざるを得ません。

市は台風に対する対策が不十分だったことは最後まで認めませんでしたが、一方で、検証報告書の今後の具体的な対策では、スタッフの避難について、安全面を考慮すると、余裕のある段階で避難を行うことが望ましいとして、今後の避難開始の基準を避難勧告の発令時、今回の場合は10月12日午前10時とすると述べています。また、内水氾濫に関するマニュアルについても、今回の台風では、氾濫危険水位を超えた10月12日16時から約9時間前の午前7時5分に洪水警報が出されており、こうした情報も対策実施のタイミング等に活用すると述べています。

事実上、私たちの指摘してきた多摩川の氾濫の危険が高まった情報に接した時点で最大規模の浸水に備えるべきだったということを追認しているわけではありませんか。

洪水警報や氾濫危険情報などの情報に対しても敏感に対応することなく、市自らが発表している浸水想定に対しても真剣に受け止めなかったことが、寄贈、寄託した市民の思いの詰まった貴重な収蔵品に対する被害を生むことにつながったのではないでしょうか。対応の誤りを事実上認めているのであれば、その責任に真摯に向かい合うべきです。その上で、今後の市民ミュージアムの在り方検討に臨むよう求めておきます。

片柳すすむ

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