片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党前川崎市議会議員
市議会傍聴レポート(議会活動報告)

議会に「統一協会との関係を絶つような決議を上げるな」という陳情が…

2022年12月12日

11月17日に受理された、陳情第154号「民主主義と立憲主義の基盤である信教の自由・請願権等を守る為の陳情」が、本日12月12日に総務委員会で審査されました。
総務委員会のメンバーはじめ、議員団で集団討議をして対応を相談してきました。

日本共産党はこの陳情審査に合わせて、総務委員会に「旧統一教会による被害の救済・防止及び政治との癒着の一掃を求める意見書案」を提案、委員会から本会議に提案するよう求めました。他の会派は賛同せず、総務委員会を通じての意見書提案は却下されましたので、本会議に直接提案することとしました。

陳情の取扱いについては、以下のような意見を述べて「不採択」とすることを求めました。

(手元のメモに基づくもので、実際の議事録ではありません)

154号の結果

陳情154号は何を言っているか

▼この陳情は、今年9月に富山市議会があげた決議を取り上げて、同様の決議を上げることが、信教の自由の侵害、請願権のはく奪、宗教を理由とする差別、になると述べています。

問題にしているのは「信仰の内容」や「宗教団体との関係を断つこと」ではない

▼しかし、富山市議会決議が求めているのは、陳情者の言うような「宗教団体との関係の遮断」ではなく、ましてや「信教の自由の侵害」でもありません。

委員会資料にあるように富山市議会決議は、「…問題は、政治家が宗教団体とかかわることではない。消費者の不安をあおり、高額な商品を購入させる『霊感商法』などで大きな社会問題となった団体とのつながりを持ってきたことである」としています。宗教団体と関わることを問題だとした決議ではありません。

その上で、富山市議会決議は、「市長並びに当局は、旧統一教会は極めて問題のある団体として…関係を持たないことを決意し表明した」として、市議会も同じ理由で「今後一切の関係を断ち切ることを宣言する」 と述べています。ここでも「極めて問題のある団体」ということが再度述べられています。理由は、宗教団体であることではなく、霊感商法などで大きな社会問題となった極めて問題のある団体だから、関係を断つのだと言っているのです。

富山市議会決議-1

▼私たちが代表質問の際に指摘したように、統一協会の活動は全面的に裁判で不法行為と認定されています。

2013年の「青春を返せ訴訟」の札幌地裁判決では、正体を隠した勧誘から合同結婚式に到る伝道活動が民法上の不法行為とされ、11年東京高裁判決では献金への統一協会の使用者責任が認められ、16年の同高裁判決は組織的不法行為を認定。霊感商法も刑事で有罪が確定し、集団結婚式への参加強要も最高裁で違法と認定されています。

▼富山市議会決議の言う、「宗教団体と関りを持つこと」ではなく、こうした裁判でも確定した不法行為を繰り返している「社会問題となった問題のある団体と関りを断つ」ということは、きわめて重要であり、まさに直面しています。陳情154号の「特定の宗教法人とその関連団体との関係を遮断する内容の決議をしない」という趣旨は賛同できません。

陳情の各項目を見ていくとどうなるか

請願権について

▼陳情第154号は「関係を遮断する決議」をあげることは、請願権を侵害することになると述べています。しかし、富山市議会決議は不法行為をする団体との関わりを断つことを求めたものであり、それは統一協会の不法行為から住民の生命・財産を守り「住民福祉の向上」をはかる地方行政・地方議会として当たり前のことです。

また、通常の宗教法人等が請願権を行使することまで遮断することは問題にされておらず、そのことは日本国憲法の請願権の規定とは矛盾するものではありません。

「法の下の平等」などについて

▼またこの陳情は、富山市議会のような決議を上げれば、思想良心の自由・信教の自由・法の下の平等などを侵害することになる、などと述べています。しかし、繰り返しになりますが、富山市議会の決議は、住民に対して啓発し犯罪から住民を守ることを目的として問題のある団体との関係を絶つことを宣言したもので、信教の自由にかかわるものではありません。

同時に、数々の犯罪によって違法判決が確定している統一協会および関連団体は、現在も違法行為を重ねており、その場合の行政調査、議会調査をも否定する本陳情は、むしろ「生命・財産の保持」「住民福祉の増進」を使命とする地方行政・地方議会にとって極めて有害なものになりうる危険性も含まれていると考えます。


したがって、陳情154号の「市議会議員等に対し、宗教法人や関連団体との関係を調査しない」という趣旨は賛同できません。

以上のことから、本陳情については「不採択」とすべきです。

この陳情についても他の会派がそろって「継続」を主張したため、継続審査となりました。

片柳すすむ

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