片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党前川崎市議会議員
市議会傍聴レポート(議会活動報告)

決算審査ー学校の先生の休憩時間…休憩できないのに「休んだことにする」?!

2022年9月29日

決算審査特別委員会・文教分科会(2日目)で、①教員の休憩時間の確保、②年間の授業時数を抑えること、③学校遊具の安全確保、④教職員のメンタルヘルスと早期退職、について質問しました。 今回は『学校の先生の休憩時間…休憩できないのに「休んだことにする」?!』のテーマを報告します。

(この記事はメモに基づくもので議事録ではありません)

質問① 教員の「休憩時間」が、給食や授業と重なる学校は?

次に、13款1項3目・教職員人事費にかかわって、教員の働き方について伺ってまいります。

まず、休憩時間のあり方についてです。労働基準法では6時間を超え8時間以下の勤務の場合は45分間の休憩を与えなければならないとされ、各学校では7時間45分の勤務時間と45分の休憩時間を設定されています。各中学校で設定している休憩時間が、日課表の昼食指導や4校時の授業時間と重なっている学校は何校あるのか、伺います。

答弁①

教員の休憩時間についての御質問でございますが、課業期間中の休憩時間を4校時の授業時間や昼食指導の時間帯に設定していた中学校は、今年度11校でございました。

質問② どの時間に休憩をとっているのか?

日課表

(A中学校とB中学校の休憩時間と日課表…11校のうちの2校の例)

こうした学校では、事実上休憩時間が取れていないのではないかと思いますが、どの時間で休憩時間をとるようにしているのか、伺います。

答弁②

教員の休憩時間についての御質問でございますが、昼食指導等と休憩時間が重なっている学校への対応につきましては、時程表との関係に留意し、休憩時間が確保できる適切な割振りを行うよう、あらためて周知徹底してまいります。

質問③ 実際に休憩時間は確保できているのか

休憩時間が確保できるようにするとのことです。しかし現状では、休憩時間の設定を「昼休み以外」としている中学校は、15時から17時の間に休憩時間を設定することが多いと伺っています。ちょうどその時間は部活動と重なる時間ですが、中学校の先生方の休憩時間は実際に取れているのか、伺います。

小学校でも同じ夕方の時間を休憩時間とする学校が多く、やはり帰りの会やクラブ活動の時間と重なる例が見受けられます。この放課後の時間は、会議や打ち合わせなどが多く入る時間帯だと思いますが、小学校についても、実際に休憩時間が確保できているのか、伺います。

答弁③

休憩時間についての御質問でございますが、教員の休憩時間については、「川崎市立学校に勤務する職員の勤務時間の割振りに関する基準」に基づき、各校長が割振りを行っております。

休憩時間の確保に当たっては、各職員に周知を行った上で、職員会議等を休憩時間以外の時間に設定する等、その取得の徹底を図っております。

一方、突発的な児童・生徒対応や家庭とのやりとり等のため、所定の時間に休憩が取得できない場合は、適宜、時間をずらしたり、分割したりすることで確実に休憩時間の確保を図ることとしております。

質問④ 5年前の調査で「休憩が取れていない」が93%…どう改善するのか

この間、教職員の皆さんがICカードで記録した、在校等時間から休憩時間をあらかじめ差し引いている問題について、やり取りしてきました。教育委員会は、「休憩時間の確保を指導し、決めた時間に取れない場合はずらして取るのが大前提だ」「だからあらかじめ休憩時間を差し引いても問題はない」という主旨の答弁を、繰り返されています。

実態は休憩は取れていません。2017年度の「教職員の勤務実態調査」では、休憩時間が「ほとんど取れていない」が78.9%、「どちらかと言うと取れていない」が14.4%、93%が取れていないと回答しています。

さらに、休憩時間が取れるはずがない、昼食時間や部活動・クラブ活動の時間と重ねて休憩時間を設定していること自体が、事実上休憩時間が取れない現状を示しています。ICカードで記録した勤務時間から休憩時間を差し引く対応自体が「虚偽報告だ」と言われても反論できないのではないでしょうか。システム的には「休憩が取れなかった」というチェック項目を教員に求めれば済みます。現実に合わせた対応にするべきです。伺います。

2020年6月12日の文教委員会で、この問題を指摘した際に、職員部長と教育長は「今後把握したい」「学校への調査やアンケートも当然行って効果を確認したい」と答えられています。教員の働き方と健康にかかわる重要な調査となります。その後の調査の具体化の状況を、教育長に伺います。

答弁④ー1

休憩時間についての御質問でございますが、ICカード等による休憩時間の把握について、現時点では、システム改修の予定はございません。

答弁④ー2 教育長

休憩時間についての御質問でございますが、私の中学校での経験を踏まえますと、個々の休憩時間をどのように取っているかを把握することは、教員の勤務態様の特殊性を踏まえると、非常に難しい面がございます。

今後の教育環境の改善につなげることを目的として、国が実施している勤務実態調査を踏まえ、本市におきましても、働き方・仕事の進め方改革の取組効果を確認するために調査を行うことにより、休憩時間に限らず教員の勤務実態の把握に努めてまいります。

意見・要望 公務災害などにかかわる重要な公文書、不正確な記録は許されない

「休憩時間取得の把握は非常に難しい」との答弁でしたが、教職員ご自身に聞けば、実態は分かるのです。5年前のタイムスタディ調査もその手法で行ったのですから、難しいとは言えません。休憩が取れたものとして45分を勤務時間から自動的に差し引くシステムも当面改修しないとのことです。

一昨年7月の文科省の事務連絡で「『在校等時間』の計測結果は…行政文書に該当する」「計測結果は公務災害が生じた場合等において重要な記録となる」とされています。休憩できていないのに、休憩したものとすることは、公務災害の重要な記録となる公文書を不正確な情報で作成することになります。また「万が一校長等が虚偽の記録を残させるようなことがあった場合には…信用失墜行為として懲戒処分等の対象ともなり得る」とも述べています。

9千人を超える教職員のうち9割以上が休憩時間を取れていないのに、その実態に向き合わず改めようとしないことは、労働基準法から見ても重大です。今後直ちに改めるよう要望します。

片柳すすむ

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