片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党前川崎市議会議員
市議会傍聴レポート(議会活動報告)

一般質問 成人式の「国歌清聴」で不起立だった来賓への対応について

2022年6月28日

6月28日の川崎市議会本会議で、一般質問を行いました。このブログで取り上げるのは『成人式での不起立だった来賓への対応について』です。

このほかに、(1)国保料の滞納者への催告文書の送付、(2)高齢者向け優良賃貸住宅の家賃補助の継続、(3)公契約制度への職種別最低賃金導入、(4)制服やジャージ・柔道着など学校の私費負担、について取り上げました。

(この記事はメモに基づくもので議事録ではありません)

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質問① 「起立しなかった理由」をどう確認したのか

次に「成人を祝うつどい」についてです。

今年1月の成人を祝うつどいの「国歌・市歌清聴」の際、来賓の中に起立しなかった方がいたことについて、3月議会で質疑がありました。質問に対しこども未来局長と教育次長はそれぞれ「起立しなかった理由を確認する」「起立されなかった理由を確認し、必要に応じて式典の趣旨を改めて説明する」と答弁されました。

式典の際に起立するかどうかは憲法19条で保障されている「思想・良心の自由」にかかわる問題です。君が代は天皇の日本統治をたたえる意味で使われてきた歌であり、国民主権を定めた現憲法とは相いれないと考える人も少なくありません。こうしたことを個々人がどう受け止め表現するかは憲法が保障する思想・良心の自由そのものです。

1999年7月21日の国旗国歌法の国会審議の際に当時の野中内閣官房長官「それぞれ人によって式典等において起立する自由もあれば、また起立しない自由もあろうかと思うし、また、斉唱する自由もあれば、斉唱しない自由もあろうかと思うわけで、この法制化はそれを画一的にしようというわけではない」見解を示していました。

片柳DP 成人の日を祝うつどい1

片柳DP 成人の日を祝うつどい2

日本弁護士連合会は2007年2月16日付の『公立の学校現場における「日の丸」・「君が代」の強制問題に関する意見書』の中で「入学式、卒業式等の学校行事において、国歌の斉唱の際に着席した生徒に対し、事情の聴取を行うことは、思想調査としての内容・効果を有し、沈黙の自由に反するものである」と述べています。沈黙の自由」とは、人がどんな思想を持っているか、持っていないかを告白するよう強制されない、思想について調査したり、直接・間接に推知したりすることも許されない、ということです。

片柳DP 成人の日を祝うつどい3

片柳DP 成人の日を祝うつどい4

3月議会での答弁の方向だと、市が、憲法の保障する「沈黙の自由」などに踏み込む思想調査をすることになりかねません。「起立しなかった理由の確認」は行われたのか、行われた場合はどのように確認したのか伺います。

答弁 教育次長

成人の日を祝うつどいについての御質問でございますが、本年1月10日に開催いたしました「成人の日を祝うつどい」昼の部において、来賓の中の1人が国歌・市歌清聴の際に不起立であったことにつきまして、御本人には、職員が、直接お会いをして、式典の趣旨を再度お伝えするとともに、起立をしなかった理由をお伺いしたところでございます。

質問② 「理由の確認」が憲法の自由に踏み込むという認識はあったのか

直接来賓の方に面会して式典の趣旨を伝え「起立しなかった理由の確認」を行ったとのことです。先ほど示したように、日弁連が15年前に「国歌斉唱の際に着席した生徒に対し事情の聴取を行うことは、思想調査としての効果があり、沈黙の自由に反する」との意見書を出しています。

「起立しなかった理由の確認」が、憲法の保障する「沈黙の自由」等に反する思想調査になり得るという認識を、3月議会の時点、また聞き取りを行った時点では持っていたのか、現在はどう考えているのか、伊藤副市長に伺います。

答弁 伊藤副市長

成人の日を祝うつどいについての御質問でございますが、式典の主催者が来賓としてお招きした方々に対して一定の行為を義務付けることはなじまないものと認識しておりますが、式典の趣旨を御理解いただき、国歌・市歌清聴の際に御起立いただくよう、御来賓の皆様にもお願いしているところでございます。

今後の式典運営におきましても、引き続き御協力のお願いをしていく必要があることから、確認を行ったところでございます。

質問③ 今後は理由を聞くことなどすべきではない

来賓はじめ式典の参加者に起立や斉唱などを義務付けることはなじまないとの認識だとのことです。また、あくまで成人を祝うという主旨を理解して頂くよう協力のお願いのみしている、とのことでした。

また、市側が行った「起立しなかった理由の確認」の内容としては、ご本人に直接面会して、式典の趣旨や流れが伝わっていたかの確認、体調含めて不都合はなかったのか等の確認をすることにとどめたと伺っています。

答弁では、この「確認」を、来賓の方ご自身がどう受け止められたかについては述べられませんでしたが、仮にこの方が「思想の有無について確認された」「内心について踏み込まれた」と感じることがあれば、先ほど述べたような憲法の保障する自由に踏み込んだおそれがあるということになります。今後このように起立しなかった理由を聞くことなどは行うべきではないと思いますが、伊藤副市長に伺います。

答弁 伊藤副市長

今後も円滑な式典運営に向けまして、引き続き、適切な対応を図ってまいりたいと存じます。

意見要望 起立するかは個人の自由。多様な背景を持つ市民が共生する川崎市にふさわしい「つどい」に

来賓だけでなく、多様な背景を持つ新しく成人を迎える方々が参加する式典です。来賓も新成人も私人ですから、起立するか歌うかなどは全く個人の自由なのが当たり前です。また来賓の中にも新しい成人の中にも、障がい等があり起立できない方もおられるでしょうし、日本がかつて侵略し植民地支配を受けた国の出身の方もおられると思います。

川崎市は「多様性は、あたたかさ。多様性は、可能性。川崎市は、1色ではありません。…」というブランドメッセージを出しています。3月議会での答弁で伊藤副市長は「国旗や国歌は国民としてのアイデンティティの証」だ、と言われましたが、「円滑な式典運営への適切な対応」ということで言えば、多様なルーツや背景や文化、考え方を持つ市民がともに生活する川崎市に相応しく、この式典やつどいの主人公であるすべての川崎市に住む新成人が尊重される式典・つどいとして行ってこそ円滑に適切に運営されることになると思います。今後の「適切な」運営を心から要望して質問を終わります。

片柳すすむ

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