3月10日、予算審査特別委員会で質問を行いました。今日はその中の【多摩川の洪水を防ぐための堤防かさ上げと浚渫を】のテーマについて、報告します。
(その他に質問した項目は「ファミリーシップ制度(同性パートナーを含めた家族全体を市が公認する制度)の創設について」「市立病院でのLGBTQの患者への対応について」「荷待ち車両への対策について」「学校教職員の多数が休んだ場合の対応について」です)
質問と答弁は以下の通りです。
*この文章はメモに基づくもので議事録ではありません。
質問① 国交大臣への「堤防かさ上げを」との要望から2年、進捗はあったのか
8款5項1目 河川総務費にかかわり、多摩川の水害対策について伺います。
2019年の東日本台風のJR京浜東北線ガード部分での越水を受けて、2020年2月27日に市長が国土交通大臣に堤防かさ上げを要望されました。
かさ上げがされていない現時点で大規模な台風があり、ここから越水し堤防が崩れれば、国交省のシミュレーションでは新本庁舎が30分から1時間のうちに(画像上)、3mまでの浸水に見舞われる(画像下)という最悪のシナリオが現実になりうるということです。
市長から国交相への要望から2年が経ちましたが、その後の進捗状況を伺います。
答弁 (建設緑政局長)
多摩川の治水対策についての御質問でございますが、JR京浜東北線ガード付近の堤防につきましては、多摩川の計画高水位に余裕高1.5mを加えた計画堤防高に満たない箇所がございまして、必要な堤防高を確保するため、現在、国士交通省が鉄道事業者と協議を行っているところと伺っております。
質問② 本町・六郷橋付近の護岸工事の効果は?
次に、幸・川崎区境付近の堤防について、多摩川が川崎市側に湾曲しているため、堤防により大きい力がかかることを指摘し水衝部対策を求めてきました。国交省の多摩川緊急治水プロジェクトとして「本町低水護岸工事」「多摩川右岸六郷橋下流低水護岸工事」などが行われていますが、これらの効果について伺います。
答弁(建設緑政局長)
多摩川の治水対策についての御質問でございますが、低水護岸の整備につきましては、洪水時における水衝部の洗堀対策として行っていると国士交通省より伺っております。
質問③ 多摩川で河道掘削(浚渫)した土砂の量は?
次に、「多摩川緊急治水プロジェクト」として今年度行われた掘削・浚渫の実績と、今後予定されている掘削量はそれぞれ何㎥か、伺います。
答弁(建設緑政局長)
多摩川の治水対策についての御質問でございますが、多摩川緊急治水対策プロジェクトの河道掘削につきましては、国士交通省により、令和6年度までに約198万㎥の掘削を進めていく計画でございまして、今年度は約23万㎥の掘削を予定しており、今年度末時点で約31万㎥の掘削が完了し、引き続き、河道掘削を進めていくと伺っているところでございます。
質問④ 専門家は「浚渫しても数年で埋まる」と…年間どのくらいの堆積を見込むのか
川は掘削したとしても、絶えず上流から土砂が流れてくることに加え、下流部では潮の満ち引きで砂などが遡上してきます。
多摩川河口域を対象にした国土技術政策総合研究所の研究論文では、「1979年に行われた大規模な掘削で河床は最大2m程度低下したものの、2年後には約75%埋め戻る」など、河床を人為的に変化させると元に戻る方向に土砂が移動し、数年程度の短い時間で戻ると述べています。浚渫が行われなかった1990年代には年間数万から10万㎥が堆積したとも述べています。
先ほどの調査から考えれば、31万㎥もの掘削を行っても、数年程度で元に戻ることも予想されます。年間どの程度の土砂が堆積すると見込んでいるのか、伺います。
答弁(建設緑政局長)
多摩川の治水対策についての御質問でございますが、河道掘削後における士砂の堆積につきましては、国土交通省により、堆積状況を確認するためのモニタリング調査を実施し、洪水が流れる断面が不足することが無いように管理していくと伺っているところでございます。
質問⑤ モニタリングの結果待ちにせず、継続的な掘削を国に求めよ
河口域だけでも毎年数万立米規模の土砂が堆積しているのは、多摩川での研究を見れば明らかです。京浜東北線のガード部の堤防は、計画高よりも低いのですから、モニタリングの結果待ちにすれば大変な事態が起こりかねません。継続的な浚渫と掘削の実施を国に求めるべきですが伺います。
答弁(建設緑政局長)
多摩川の治水対策についての御質問でございますが、国士交通省より士砂の堆積状況に関するモニタリングの結果、河川管理上、必要な場合には河道掘削を実施すると伺っております。
河道掘削等につきましては、流下能力を確保する取組であり、本市としても有効な対策と考えていることから、国士交通省に対して今後も引き続き継続的な河道掘削等の実施を要望してまいります。
要望 かさ上げの加速と毎年の掘削を、市長は国に強く要請を
ようやくJRガード部分の堤防かさ上げについて、国交省と鉄道事業者との協議が始まったとのことです。しかし、かさ上げがいつ行われるのか、まだまったく先は見えません。その間に大雨があればいつ越水するか分からない状況です。
東日本台風後の羽田連絡道路周辺に堆積した土砂は約13万㎥、その前の8月にも測量したら当初の見込みより土砂の量が約7万8千㎥も多かったので、いずれも追加の浚渫を行ったのです。毎年、常に数万立米単位の堆積があり、大規模台風ではそれが飛躍的に増えるということです。この1年あまりで一定量の掘削が行われたとはいえ、1990年代の大規模掘削でも2年で75%が埋め戻った事例も報告されています。モニタリング待ちにせず、継続した掘削が毎年必ず行われるよう、市長から国交省に強く求めて頂くことを要望して質問を終わります。