片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党前川崎市議会議員
プライベート

土手の道

2022年1月26日

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土手沿いの道、車に乗っていると気付かない程度に緩やかな上り坂を進んでいく。

目線が土手の高さになると、すっかり暮れた多摩川と河川敷がうす暗く広がり、その向こうに対岸の住宅の灯りが浮かび上がる。

…「夕焼けが綺麗だねえ」
…「青空が綺麗だねえ」
…「曇ってるけどそれでも気持ちがいいよねえ」

どんな天気の日も、夕方でも日中でも、ここの景色が好きなのだ、と言ってきた。結局はこの景色が好きで、この景色をいっしょに見る時間と気持ちを共有したいだけなのだと思う。

「いい景色だね」と言いたくなるのは、一番親しい人なのだと思うし、それに対して「うん」と返事をしてくれて嬉しくなるのも一番親しい人なのだと思う。

多摩川の黒に、対岸の灯り。
「とうさんはここの夜の景色がほんとうに好きなんだ」
「うん」
「ここから見えるマンションの窓って、白っぽい光と、黄色やオレンジっぽい光と両方あるじゃん」
「うん」
「白もオレンジも両方あって、一軒一軒バラバラで。きっと家の人によってそれぞれ好きな色や雰囲気が違うと思うんだ」
「そうだね」
「この景色がただきれいなだけじゃなくて、そうやっていろんな人がいるんだな、と思うと気持ちが落ち着くんだ」
「あ、それは分かるよ」
「きっとキミのやっている演劇もそうで。さっきキミが『演劇は上手・下手じゃなくて、いろんな人が演じるからいいんだって言われた』ってのもそういうことなんだと思う」
「うん、そうそう。それというのは~(長く続く演劇の話……)」

少し手前には、無機質に白い蛍光灯だけが並んでいるマンションもあり、冷たいガラスと蛍光灯だけのオフィスビルもあった。
必ずこの時間を愛おしく思い出す日が遠からず来るのだろうと思うと、もっとこの景色が切なく美しく見えてくる。

長男を稽古に送迎する日々がまた始まった。

片柳すすむ

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