「川崎市「ヘイト規制条例」への『よくある質問』に答えます①」はこちら(文字列をクリック)
前回に続き、ヘイトスピーチに同調する人等から私に向けられた差別的な返信や罵倒、私の意図を恣意的に歪めた投稿、川崎市「差別のない人権尊重のまちづくり条例」への攻撃などが繰り返されています。
ほぼ全てが荒唐無稽な内容ですが、引き続き、それらの差別的な投稿の「道理のなさ」を明らかにしてきたいと思います。
Q5、日本人差別も良くないのだから平等に禁止・罰則とすべき
A5、禁止できません。
憲法による表現の自由は人権の体系上「優越的地位」にあります。表現の自由は「自己実現」と「自己統治」にとって不可欠な機能を担うことから、そうした地位にあります。
ですから、表現の自由を規制する法律(条例)をつくるときは、厳格な基準に基づく審査が求められます。
具体的には、「やむにやまれぬ」理由に基づくこと、「必要最小限度の制限」であることが要求され、そうでなければ「憲法違反」と判断されることになります。
また、規定が漠然・不明確な場合は違憲とされます(「明確性の基準」「漠然性ゆえに違憲無効」の理論」)。さらに、過度に広汎な規制の場合も違憲とされます(「過度の広汎性ゆえに違憲無効」の法理)。
さらに、刑罰を規定する場合は、規制対象となる行為とそれに違反した場合に科される罰則との間に均衡が図られていることが、憲法31条の罪刑法定主義の観点から必要です。
あいまいな「日本人差別」を罰則で禁止することこそ憲法違反です。
Q6、条例で日本人差別を禁止しないということは、「日本人は差別されて良い」と認めているということだ
A6、違います。
(川崎市HPより https://www.city.kawasaki.jp/templates/faq/250/0000127274.html )
「この条例は、人権全般を対象としており、誹謗・中傷も許されることではありません」と明記しています。
Q7、市の条例は、なぜ日本人でなく外国人ばかり守るのか
A7、実際に行われた差別の対象が「本邦外出身者」だったからです
川崎市で「本邦外出身者」を対象に地域からの排斥を訴えるデモなどが繰り返し行われ、地裁川崎支部や法務省横浜地方法務局長から「違法性が顕著である」「他者の人間としての尊厳を傷つけるもの」と判断されるなどしたからです。
(川崎市HPより https://city.kawasaki.jp/templates/faq/250/0000126653.html )
川崎市は、日本国内は元より海外からも多くの人が移り住んできた「多文化のまち」です。市内では…計12回にわたり、JR川崎駅前の繁華街を中心として本邦外出身者の排斥を訴える内容のデモが繰り返し行われ、地域に居住する市民の平穏な生活が奪われました。
2016年6月には横浜地裁川崎支部で「違法性が顕著である」とデモを禁止する仮処分決定が発せられ、同年8月には法務省横浜地方法務局長より「他者の人間としての尊厳を傷つけるものである」として、同様の行為を行わないよう勧告が行われました。
この条例は上記の事情を背景としてこうしたデモを再発させてはならないとの市の強い決意に基づき、制定に至ったものです。