片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党前川崎市議会議員
市議会傍聴レポート(議会活動報告)

(中学校まで)少人数学級を求める請願―結果は「不採択」に

2021年2月12日

追加署名含めて1万2865人の方々が提出した、請願第20号「子どもたちが安心して学べる少人数学級を求める請願」が審議されました。
(質問と答弁は片柳のメモをもとにまとめたものです。詳細は後日発表される議事録をご覧ください)

請願の趣旨は、コロナの感染拡大のもと、感染防止対策として教室の「密」を避けるために少人数学級にすること。請願事項は、①国に対し、少人数学級を進めるよう、意見書を提出するなど要望すること、②川崎市は一刻も早く、小学校3年から中学校3年まで、35人以下学級にすること、の二点です。

請願は「不採択」、意見書は「出さない」という残念な結果に

結論から言うと、意見書提出を求めたのも、請願採択を求めたのも私と大庭市議の2人だけで、意見書は出さず請願は不採択という結果(下図)になりました。

少人数学級 請願結果

 請願と意見書についての採択態度表明で私が日本共産党を代表して発言したのは、何よりもコロナの下で「密」を避けるために必要だということ、次に中1ギャップをはじめ子どもの人間関係や学びの環境を整えるためにも必要だし、少人数学級が中学生のいじめや人間関係の問題についても有効だということが少人数学級の研究指定校の実践でも示されていることでした。その上で、請願の採択を主張しました。また国が中学校での少人数学級への取り組みを進めるよう求めるためにも意見書を採択することを求めました。

 他の議員の態度表明では「少人数学級の効果は否定しないが…」「段階的には進めるべきだが…」との意見が大勢でした。しかし最終的には「すぐには実現不可能だから不採択」という流れになってしまいました(後程公開される議事録等でご確認ください)。たしかに請願文では「一刻も早く…」となっていましたが、せめて「不採択」ではなく、「趣旨採択(*)としてほしかった、と思ってしまいます。少なくとも「中学校でも35人学級が必要」という方向には多数の議員が共有されていたのですから…残念です。

趣旨採択」とは(全国都道府県議会議長会の資料より)

「趣旨採択とは、当該請願に全面的には賛意を表せないが、基本的な考え方には賛成である場合に、当該請願の趣旨を採択するもので、地方議会によっては会議規則上の規定はないが、運用として採用している」

大庭市議は「コロナのもと、密を避けるために」、片柳は「中1ギャップへの対応を」と質疑

前半、大庭裕子市議が「コロナのもとでこそ少人数学級を中学校まで拡大すべき」という論点で質疑を行いました。私はその後を受けて、「中1ギャップを乗り越えるために」という点を中心に質疑しました。質疑のポイントだけ箇条書き的に抜き出して報告します。(答弁の概要〈片柳のメモ〉は青字で示します)

■不登校の状況は?→(答・(2018~19年)2018年小6の不登校数は【171人】→2019年・中1では【364人】―川崎市発表の「児童生徒の問題行動等の状況」)
小6から中1になると【203人】不登校が増えている。5年前と比べると中1段階では93人の増。中学校での少人数学級を進める必要がある。

■同調査で要因として多いのは「いじめを除く友人関係をめぐる問題」で、次いで「学業の不振」。なぜ中学校で不登校が増えるのか、どうつかんでいるか?→(答・小学校で「登校しぶり」のような状況だった子が、中学に上がると複数の学校から生徒が来る・教科担任制になるなど大きな環境の変化があるために不登校になるような事例が多いと把握している)

■現場の教職員の方々からは、「高校受験が視野に入り、成績にこだわる生徒が増えるなどプレッシャーがかかる傾向」「LINEなどでつながる子どもが増えグループ内で『既読にならない』などの人間関係の悩みが強まる」などの実態が示されている

■中学校の少人数学級の研究指定報告書を見ると

A中学「多様化する学習課題や生活課題に対応した指導、教員が子どもと向き合う時間が確保できるため…良好な人間関係づくりができた」
A中学「いじめ等に対するきめ細やかな対応ができた」
B中学「クラスの人数が減ったことにより…(生徒の)諸問題を短時間に解決したり、未然に防区ごとができた。デメリットは特に感じられなかった」
C中学「人間関係に細やかに配慮した学級編成を実現できたため、過去の人間関係にとらわれず、良好な関係を築いたり保ったりする生徒が増えた」
C中学「少人数学級による学習指導、生活指導により、分かりやすい授業を実現でき、友人関係や生活態度が安定したことから、生徒が安心して落ち着きのある学校生活を送ることができた」
C中学「日頃の人間関係を生かしてさまざまな活動を行いやすかった。また風通しの良い雰囲気の中で質問や発言、発表をしやすく学習の成果も上がりやすかった」

などが報告されている。こうした少人数学級の効果をどう考えるか—(答・きめ細やかな指導、良好な人間関係をつくることができたと考えている)

■現在の国の方向では2025年には小学校6年生は35人学級とするが、その後の中学校の少人数学級の方向性は示されていない。もし中学校で少人数学級が実施されなければ、ただでさえ「中1ギャップ」があるのに、そこに学級人数の上限も35人から40人になれば、さらに子どもに負担がかかる。その場合の子どもの影響について検討しているか? (答・特別にはしていない)

■研究指定校などの限定がなく中学校のいずれかの学年で少人数学級を実施している自治体は、委員会資料を見ると政令市で11市(20市中)、都道府県で35都道府県(47都道府県中)だが、それぞれどういう目的で中学校での少人数学級をおこなっていると把握しているか→ (答・少人数学級の指定研究以外はしていない) →今後調査すべき。

■前回の委員会資料では「少人数学級を進めることで教室が不足する学校数」を25校と明記していたが、今回は明記しない理由。 (答・空き部屋などを転用することなどを想定しているが学校ごとに状況が違うので、机上の計算としないで各学校の状況を丁寧に把握することとしたため)

■2009年度に小学校3校の校舎等の建設を10年のリースで行った実績があるがその資料を提供してほしい。

■前回6月の委員会資料では、教職員の人件費として「一人あたり599.0万円」とされていた。新たに教員を増やすとなれば新卒が中心となると指摘して、追加資料で「新卒とすると一人あたり412.4万円」と示された。今回は「一人あたり847.5万円」とされているのはなぜか― (答・担任を持たない教諭や事務職員なども含め、前回の試算に含めなかった諸手当等を含めて算出した) ―すべて新卒にはならず経験ある教職員を採用する部分もあるが大半は新卒となるのは確かなはずだから、より正確な資料としてほしい。

片柳すすむ

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