片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党前川崎市議会議員
活動レポート

文教委ー「ネット上での誹謗中傷対策を国に求める」意見書案の議論

2020年12月8日

昨日12月7日の文教委員会はなかなか骨が折れました。

前回の委員会で松原委員(自民)から、提案したい意見書案の趣旨が口頭で説明され、インターネットでの誹謗中傷に関わる「開示対象となる発信者情報の追加」「裁判手続きの簡略化」「投稿を削除した際のSNS事業者の責任免除」などを要望する意見書案としたい、と提案されました。それに対する「意見書を提案するべきか否か」について「各会派持ち帰り」した上で態度を表明することになっていたからです。

大きく言えば当然反対すべきものではないのですが、最終的には憲法の言論の自由の制限にもかかわってくる超々重要な案件です。なので質疑もしないで「意見書を出すべき」と軽々には言えません。ですが質疑をするとなると、普段の市民文化局や教育委員会事務局など市当局とやりとりするのではなく、提案者と質問者の間、つまり議員同士でのやりとりになります。

普段の当局の理事者とのやり取りであれば「こういう質問をすればこう帰ってくるだろう」という予想がだいたいできるのですが、議員同士だと予想がつかない面があります。実際に『丁々発止』といったようなやりとりになり、なかなか大変な委員会でした。終わってホッとしました。

以下、私が発言した内容の事前メモを加筆したものです(松原議員の回答などはメモする余裕などありませんでしたので、入っていません)。正確なものは後程議会から発表される議事録をご覧ください。


□冒頭の発言

この数年間「ヘイトスピーチ」「不当な差別的言動」に関わる問題については、繰り返し文教委員会でも審議してきたのだから、正面から「ヘイトスピーチ」に関わる意見書案ならいいのだが、「ネット上の誹謗中傷」についてはまだ本委員会では十分に議論を重ねていない。ここについて意見書を出すのであれば丁寧に議論しなければならないと思う。

■質問① 「市の制度執行」の状況を検証するのが優先ではないのか

要望項目にある「地方自治体から削除要請した際のSNS事業者の責任免除」についてだが、代表質問でも質疑したとおり1万1千件余りの調査対象のうち24%しか終了していないというのが、条例に基づく運用が始まった今年度7カ月時点での到達だ。
本市の人権条例にもとづく不当な差別的言動に対応する制度の執行がスムーズにいっているのかを検証し、スムーズにいっていない原因が人権条例の制度の中にあるのならそれを改めるべきだし、国の法律にあるのであれば法律を改める、というのが筋ではないかと思うが、なぜ法整備が必要と考えるのか。

■質問② 「ネット上の誹謗中傷」に対する法整備が必要な事実はどこにあるのか

今回の提案はヘイトスピーチ・不当な差別的言動に限らず、広く人権にかかわる誹謗中傷についての法整備、ということになる。ヘイトスピーチについてはその立法事実についてなど議論を積み重ねてきたが、ネット上の誹謗中傷全般となるとそういう議論の積み上げはない。法整備が必要だとする基礎事実があるのか、理由と根拠を示してほしい。

■質問③ 政府の研究会では「表現の自由」とのかかわりをどう整理しているのか

法整備を進めた場合に、憲法の要請する表現の自由との関係ではどうなるのか、政府の研究会ではどのように述べているのか、確認したい。

□意見 「全会一致」の委員会での意見書提案は、「議論が熟した問題」とすべきでは

もう一点、今回の意見書案の提案のあり方について意見を申し上げる。

「インターネット上での誹謗中傷」は、重要な人権問題だということは疑う余地はない。しかし、これまで述べたように本委員会で「ヘイトスピーチ」は繰り返し議論してきたが、「ネット上での誹謗中傷」そのものを本委員会で中心的に議論したことはほとんどない。先日10月29日に今回の削除要請等に係る報告を受けた際の松原委員の質疑で取り上げられた程度だったのではないか。「ネットでの誹謗中傷」について、本委員会では十分に議論されていない状況である。

意見書提案を求める陳情・請願の場合は、理事者からの説明も受けながら審議することができるが、議員提案となると今日のように提案理由について確認したい内容があったとしても、理事者に質疑できるわけでもなく十分な議論ができないことが明らかになったのではないか。

たとえば委員会での意見書提案については委員会で議論を積み上げて各委員の共通認識ができているものが提案される、という流れがなじむのではないかと思う。今後の委員会における意見書案のあり方について、以上のとおり意見を申し上げる。

今回の意見書提案そのものについては、インターネット上で起きている被害がありその速やかな解決が求められている重要なものだと私たちも考えており、質疑した結果、法整備についてももちろん妥当だと考えるので、意見書を出すことについては賛成する。


こんな議論でした。こちらは整理して発言しているつもりでしたが、なかなか思いが伝わらなかったり。また予想と違う角度での反論があったりしてそれにも再反論が必要だったり。疲れました。

片柳すすむ

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