片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党前川崎市議会議員
市議会傍聴レポート(議会活動報告)

自立支援センターの個室化・「ハウジングファースト」型支援など、ホームレス対策が前進

2020年6月29日

6月26日の一般質問の報告のつづきです。質問テーマは、①富士見公園こども広場に安全な大型遊具を、②労働会館ホールの施設・設備更新を、③ホームレス対策の充実を、④SOGI(性的マイノリティ)への支援充実を、の4点です。今回は『③ホームレス対策の充実を』について報告します。


結論的なことから言うと

★ホームレス自立支援センターの個室化など、居室のあり方について検討したい

★路上から直接、市が借り上げたアパートへ入居しつつ訪問・支援を行う「ハウジングファースト」型の取り組みを行う

という重要な答弁がありました。

↓それでは以下、質問と答弁の本文です(これは議事録ではありません。正式な議事録は後日議会から発表されます)↓

質問① 「ホームレス自立支援センター」の個室数は?

この間ホームレスの方から相談を受ける機会があり、また毎年数人の方から「ネットカフェで暮らしていたが所持金がなくなった」との相談を受けています。そこでホームレスの方への対応について、健康福祉局長に伺います。

 まずコロナ前までの市内3カ所の「ホームレス自立支援センター」等の合計定員とそのうち個室はいくつあるのか、伺います。

答弁① 健康福祉局長

ホームレス自立支援センターについての御質問でございますが、ホームレス自立支援センターにつきましては、市内で居所を失った方に対して、就労支援や生活支援など入所者一人ひとりの状態にあった自立に向けたサポートを実施する一時的な入所施設でございます。

現在、市内3箇所に設置しており、定員は、合計145名で、個室は34室でございます。

質問② センター入所直前に「ネットカフェ」にいた人の割合は?

3センターの定員145名に対し個室は34室で23%、残りの4分の3は相部屋です。

ホームレス1

またこの間、路上生活の方よりも、ネットカフェ生活を経由して自立支援センターに入所する方が多いと感じていますが、第4期計画では入所者の直前の居所について特徴をどのように分析しているのか、伺います。入所直前の居所がネットカフェ等野宿以外の方の割合は直近の3年間でどう推移しているかも伺います。

答弁② 健康福祉局長

ホームレス自立支援センターについての御質問でございますが、
自立支援センター入所直前の居所について、第4期ホームレス自立支援実施計画におきまして、平成27年度から平成29年度のデータをもとに分析した結果、ネットカフェ、カプセルホテル、知人宅等、野宿以外の不安定な居住環境で生活していた人が、そこでの暮らしを維持できなくなったことから入所に至るケースが増えており、その傾向は年々強まっているという特徴がございます。
直近3年間におけるセンター入所直前の居所がネットカフェ等野宿でない方の割合は、平成29年度は約69%、平成30年度は約74%、平成31年度は約70%となっており、概ね70%前後で推移しております。

質問③ 尊厳を守るため「自立支援センター」の居室を『個室化』すべき

ネットカフェからの方が増えている、との答弁でした。

ホームレス2

今回2つのセンターを視察し、大変努力して運営されているのがよく分かりました。しかし、それでも利用経験者から「別の入所者に嫌味を言われた。センターにはもう行きたくない」「同室の人の寝言やいびきがすごくて眠れなかった」「盗難に遭った」など、特に相部屋であることへの抵抗感があるとの意見を伺っています。

路上生活の方は様々な困難を経験し障害を抱えている人も多く、他者とのかかわりが苦手な傾向があります。一方、ネットカフェ生活を経験した方は、個室的な環境にいたことから、相部屋への抵抗感が大きい傾向があると感じています。

どちらに対応するためにも、今後自立支援センターは基本的に個室にすべきです。具合の悪い方の安否確認や、集団生活の経験などは他の手立てをとることができますが、人間の尊厳を守るうえで重要なプライバシーの確保は優先して行うべきです。すべて個室にしている仙台市の例もあります。本市でも自立支援センターを個室とする方向に転換すべきと考えますが、伺います。

答弁③ 健康福祉局長

ホームレス自立支援センターについての御質問でございますが、
現在、センターでの貴重品の管理につきましては、鍵付きロッカーの設置や事務室金庫での保管をしております。また、精神疾患等により多床室での生活が困難な方につきましては、優先的に個室の活用をするなどして、入所されている方々の状況に応じた生活を支援しているところでございます。
しかしながら、集団生活から発生するトラブルの防止や入所者のプライバシーの確保につきましては重要なことと認識しておりますので、今後、国の動向や新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点を踏まえ、センターにおける居室のあり方について検討してまいりたいと存じます。

質問④ 「市に相談すれば食事と寝場所が提供される」という希望をもてるようネットカフェにリーフレットを

コロナ禍のもと「ネットカフェ難民」から路上生活を余儀なくされる方が増えると思います。所持金が少なくなったネットカフェ利用者が、「市には自立支援センターがあり、お金がなくても、日々の食事と寝る場所が提供される」「センターに行けば、就労や生活保護などにつながり、人間らしい生活が取り戻せる」という希望が持てるように、ネットカフェにリーフレットを置くなどの取り組みをすべきではないでしょうか、伺います。

答弁④ 健康福祉局長

ホームレス支援についての御質問でございますが、
ネットカフェ等の終夜営業店舗を利用している方々につきましては、新型コロナウイルスの影響を受けて、失業や収入の減少により生活に困窮する方が増えることが想定されるところでございます。
今後につきましては、終夜営業店舗を利用している方々に対しまして、「だいJOBセンター」のチラシ等を店舗の協力を得て配架により広報を行い、早期の相談につなげ、自立支援センターを含めた就労や住居確保など生活全般に関する様々な情報提供を行うことにより、生活に困窮する方々の支援を行ってまいりたいと考えております。

質問⑤ 路上からアパート生活に至るまでの支援の流れは?

先ほど紹介した「別の入所者に嫌味を言われた。センターにはもう行きたくない」と言われた方は、「もう年だし、できれば生活保護を利用してアパートで暮らしたい」という思いも話されています。ホームレスの方がアパートで自立し生活するまでの市の対応はどのような流れになっているのか、伺います。

答弁⑤ 健康福祉局長

ホームレス支援についての御質問でございますが、
路上等のホームレスの方に対しましては、専門の巡回相談員が訪問し、生活や健康の状態を把握するとともに、自立支援センターの御案内や、福祉事務所への相談について周知を行っております。
また、ホームレスの方から各区の福祉事務所へ居所に関する相談があった場合は、自立支援センターを紹介し、センター入所後は原則3力月の入所期間を目途に、稼働能力や単身居宅生活の可否の見極めを行った後、入所者の意向を確認しながら、一人ひとりの状態にあった支援計画を作成しております。この計画に基づき、就労支援や居住の確保に向けた支援を行い、アパート等での自立を目指していただいております。
なお、アパートへ転居後も支援を希望される方に対しましては、相談支援員が訪問し就労状況や日常生活における助言指導を行うことにより、地域で安定した生活を営み、再び野宿生活に戻ることのないよう支援を行っております。

質問⑥ 「ハウジングファースト」型支援のモデル事業の対象人数等は?

様々取り組んでおられます(追記:時間がなくて細々触れられませんでしたが、現場で皆さん頑張って路上のホームレスの方への訪問とか、関係を築きながら本当に頑張っておられます)が、市の計画に示された図を見れば、

ホームレス3

アパートなどでの自立生活に進もうとすると、必ず自立支援センターを経由しなければならない、というのが現状です。

ホームレス4

センターの利用がハードルとなって自立に踏み出せない方などに対し、まず賃貸住宅などへの入居を行い、それと同時に丁寧なサポートで自立を支えていく「ハウジングファースト」のモデル事業を行うとのことですが、対象人数と、来年度以降の計画を伺います。

答弁⑥ 健康福祉局長

ホームレス支援についての御質問でございますが、
長期に路上等で起居するホームレスの方の中には、集団生活に対する拒否感が強く、自立支援センターへ入所し自立を目指すという支援の方法がなじまない場合がございます。
そのため、これらの方への対応として、自立支援センターへの入所を経て、アパートでの自立を目指すステップアップ型ではなく、路上等から直接、市が借り上げたアパートへ入居していただき、自立支援センターの職員等が訪問し支援を行う「ホームレス訪問型自立支援住宅事業」を本年度から試行する予定となっております。
この事業の対象者につきましては、日常生活が自立しており、単身での居宅生活が可能と見込まれるなど一定の条件を満たした方で、実施予定数は、3人程度を見込んでおります。
なお、来年度以降の事業につきましては、今年度の状況を踏まえ、関係部局等と調整の上、検討してまいりたいと考えております。

要望 「ハウジングファースト」の対象人数増と南部への設置、「センター」の居室への空調設置を

重要な取り組みです。
ただ、このハウジングファーストの事業も、従来の自立生活を軌道に乗せるアフターケア事業も、実施場所は多くが高津区以北です。ホームレス生活をしてきた方にとって、生活し慣れた場所から離れて暮らすことは大きな負担となります。「ハウジングファースト」の取り組みについて、対象人数を増やすこと、ホームレスの方の多い中原区以南・川崎区も含めてアパート一棟を借り上げるなどして実施することを要望します。自立支援センターの個室化も着実に進めること、今回は質問できませんでしたが、各室に空調設備を整えることも要望します。

片柳すすむ

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