片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党前川崎市議会議員
市議会傍聴レポート(議会活動報告)

「和式トイレにしゃがんだ高齢者が立てなくなった」(石巻市)-災害時に備え学校トイレの洋式化の加速を

2017年11月28日

決算審査特別委員会の報告から、この質問が抜けていました。あらためて報告します。

質問:学校トイレ「快適化」の現状は?

13款8項1目に関連して、学校トイレ快適化事業についてうかがいます。2016年度決算期に学校トイレの快適化を行った学校の名前と決算額をお示し下さい。

答弁

学校トイレの决適化実施校についての御質問でございますが、平成28年度に「学校トイレ快適化事業」を実施した学校は、殿町小、宮前小、小田小、西菅小、臨港中、桜本中、平中の7校でございまして、決算額は、2億9,793万8,110円でございます。
また、「学校施設長期保全計画」におきましては、京町小、夢見ケ崎小、久本小、井田中、宮内中、東高津中において、校舎内の全てのトイレの决適化を実施したところでございます。

質問:避難所となる学校体育館のトイレの和式・洋式の数は?

小学校・中学校は災害時に避難所となりますが、体育館および体育館に近接しているトイレの便器の和式・洋式の数はそれぞれいくつずつでしょうか。また多目的トイレが体育館かその近くにない学校はいくつあるでしょうか。お示し下さい。

答弁

体育館のトイレについての御質問でございますが、はじめに、指定避難所となっている市立学校の体育館や体育館に近接しているトイレの便器の数につきましては、和式360基、洋式326基でございます。次に、指定避難所となっている市立学校170校のうち、体育館、又はその近くに多目的トイレがない岩交は、小学校38校、中学校17校、特別支援学校1校、高等学校4校でございます。

質問:「トイレを我慢して体調を壊した」―避難所となる体育館トイレの洋式化の加速を

多目的トイレが近くにない、という小学校が38校、中学校は17校にのぼるとのことです。

民間団体の調査では、「熊本地震直後の避難所で不便だったこと」との質問に、67%の方が「トイレ」と答えています。熊本や石巻の避難所管理者からは「小さな体育館に1カ所あった温水洗浄便座つきの多目的トイレは高齢者と子どもに人気で、プライベート空間のない避難所で唯一ほっとできる快適な場所となっていた」「洋式トイレまでの距離が遠く、多くの高齢者が我慢してしまった」「高齢者は洋式でないととても無理」などの報告がされています。

昨年4月の内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(下記画像参照)では、「平時に使用している既設トイレが使用できれば、トイレの数を確保しやすくなるとともに、個室確保の観点からも望ましい」「高齢者や障害者にとっては、和式便器の使用は極度に困難であるので、既設トイレを洋式便器化していくことが望ましい。特に避難所となる「施設の新設や大改修の際には、洋式便器の設置や、災害時の水使用の観点から、節水型に置き換えていくことを推進すべきである」としています。さらに災害時のトイレの確保目標を定めていますが、和式便器はその算出数から除外し洋式便器のみカウントする措置をとっています。

災害時に避難所となる学校体育館や体育館に近接するトイレの洋式化を進めるとともに、多目的トイレのない学校体育館については速やかに解消するよう特別な計画を立てるべきです。伺います。

答弁

体育館における多目的トイレについての御質問でございますが、多目的トイレの設置や便器の洋式化につきましては、「学校施設長期保全計画」に基づき、平成28年度から工事に着手し、便器の洋式化等を実施しているところでございます。また、多目的トイレにつきましては、設置するスペースの問題もございますが、可能な限り設置に努めているところでございます。

質問:体育館以外の校舎内のトイレの洋式化も加速すべき

熊本地震後、わが会派が地震の被害想定の人数に見合う避難場所の確保を求めた質問に対し、総務企画局長は「校長室や職員室、保健室、給食室などの諸室、また廊下やトイレ、倉庫などの共用部分等を除く体育館及び全ての教室を対象に算出している」として、学校の教室なども避難者への対応に使用すると述べられました。

こうした災害への対応を前提とすれば、校舎内のトイレの洋式化も加速する必要があることは明らかです。

東日本大震災で校舎の1階と体育館が津波被災し、校舎の2階から4階が避難所となった石巻市立湊小学校で、避難所対策本部長をつとめた庄司慈明さんに電話で洋式トイレの重要性を伺いました。「食事は1日くらい我慢できても排泄は我慢することができない。だから避難所で真っ先に必要なのはトイレだった。避難所になった近くの公民館は和式トイレだったため、使用した高齢の女性が座ったまま立ち上がれなくなってしまい、狭い個室に長時間閉じ込められる事態になった。一方、湊小学校は震災の4年前に校舎の耐震化と教室含めて100%洋式化を終えていたことで、避難者の生命を守ることができた。」と述べていました。

奈良県生駒市「2018年度までに100%の洋式化」を掲げ、佐賀県鳥栖市2019年度までに全小中学校のトイレを洋式化しLGBTへの対応のために男子トイレも個室化するとのことです。東京都2020年度までに公立小中学校の8割洋式化を掲げ、調布市91.4%、豊島区86.4%、港区79.6%と洋式化を進める自治体が増えています。

災害時の対応も視野に入れて、学校トイレの洋式化を大幅に加速すべきと思いますが、うかがいます。

答弁

便器の洋式化についての御質問でございますが、学校トイレの改修につきましては、「学校トイレ快適化事業」において、1系統のトイレの快適化を実施しているところでございます。また、「当交施設長期保全計画」においては、校舎及び体育館の全てのトイレの决適化を実施しているところでございます。今後につきましても、「学校トイレ快適化事業」及び「学校施設長期保全計画」を着実に推進するとともに、学校の実情を踏まえた対応を図るなど、学校のトイレ環境の改善に努めてまいります。

意見要望:学校トイレの洋式化の計画を立て直して、加速を

首都圏直下地震もいつあるかわからず、今年も九州北部はじめ各地で大変な豪雨災害が起きています。川崎区などは体育館含めて津波や洪水の浸水被害が想定されており、そうなれば校舎のトイレが避難する住民にとっての頼みの綱となります。今の子どもたちの学校生活のためということはもちろんですが、災害時の対応を考えれば洋式トイレ化を大幅にすすめることは急務です。体育館の洋式化、とくに多目的トイレの設置と、校舎のトイレの洋式化を真剣に進め、計画を立て直すよう要望して質問を終わります。

片柳すすむ

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