片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党前川崎市議会議員
活動レポート

視察の報告―4月以来、「LGBT」施策について各地の取組みを学んできました

2017年7月10日

日本共産党川崎市議団として、4月以降、多様な性のあり方にかかわる施策を行っている自治体や当事者団体などを訪問・視察してきました。一つ一つの取り組みが素晴らしいものなのですが、7月9日の学習会の際の資料としてまとめたものなので、特徴点のみを絞って紹介・報告しております。ご了承下さい。

(1)大阪市淀川区 4月17日  

●「LGBT支援宣言」

・区長先頭に「宣言」。「LGBTの当時者から申し出があれば対応する」のでは不十分であり、「LGBTの方が自ら申し出しやすくするのが行政の役目だ」と位置づけて全職員研修、研修を終えた職員の職員証に「レインボーマーク」の表示、などに取組む。

・役所外にレインボーフラッグ、懸垂幕を掲示。役所内にも、職員研修の感想やレインボー案内板を掲出。

・教育―「水泳の時間はラッシュガード(袖のついた水着の上衣)を着てもよい」などの対応も

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(2)岡山市 4月18日

 ●全教員にパンフ配布・研修

・当事者グループ「プラウド岡山」が「苦しい気持ちを先生に知ってほしい」と、教育委員会との協働事業で当事者に学校生活アンケートを実施→教員向けパンフを作成。今年度、全教員にパンフを増刷・配布。養護教諭向けの研修(プラウドが講師)をして、養護教諭が校内で講師として伝達講習。

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・職員向けパンフも作成。

●市議会・特別委員会を設置し『提言』

・市議会で「多様性のある社会実現調査特別委員会」を2015年5月に設置(共産党議員が委員長)。発端は保守系の議員が当事者からの働きかけで感銘を受けたこと。当事者との懇談、企業や自治体などへの視察で「少子化につながる」と述べていた保守系議員も変化。今年5月、「性の多様性の尊重を」「だれでも相談できる仕組みを」などの『提言』を市長に提出した。

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(3)横浜市 4月20日

・電話相談、臨床心理士によるカウンセリング、コミュニティスペース(「10代限定」「男性が好きな男性」「40代以上」「かぞくの会」などセクシャリティや年齢別)などを横浜市の補助で当事者団体が実施。

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(4)渋谷区 4月24日

●男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例

・区長発。当事者ヒアリングや調査をもとにした議論を経て、全国に先駆けて15年2月議決。「任意後見契約」「合意契約」の公正証書が必要。区内の不動産業界、医療機関にも協力の要請を行った。

・小・中学校の教員には3年かけて全員研修。

・コミュニティスペース「#渋谷にかける虹」、「性的少数者のためのにじいろ電話相談」も実施。「だれでもトイレ」の設置

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(5)TRP=東京レインボープライド関連行事 5月5日

『先生集合!LGBTの子どもも過ごしやすい学校について考えよう!』

『一橋大学アウティング事件 裁判経過の報告と共に考える集い』に参加。

(6)世田谷区 5月29日

●パートナーシップ宣誓(要綱)

・「『パートナーシップ宣誓をしていること』を条件に施策をすすめる(「パートナー宣誓していること」を公営住宅への入居の条件にする、など)と、本来『宣誓』を望んでいない人まで宣誓させることになってしまう。カミングアウト(名乗り出ること)をしたい人もしたくない人もいる。行政がカミングアウトをすすめるようなことはしたくない」―パートナーシップ宣誓はそれ自体で行い、個々の行政施策では「すべての窓口で家族と同じ対応をしていこう」という努力方向。

●「未来の世田谷から差別をなくす」と教育に取り組む

・教員研修…2011年度から「LGBT」の教員研修を開始、現在は「校長・(幼稚)園長研修」「進入・転入管理職研修」「人権教育研修」「若手教員育成研修」「教育相談研修」「夏季教育課題研修」をそれぞれ行い、年間400人以上の教員(世田谷区全体で教員は3千人程度)が性的マイノリティにかかわる研修を受けている。

・道徳や教科で多様な性についての教育―内容も素晴らしく、都教委の人権尊重教育などの枠組みを利用して、道徳の時間で絵本や自主教材で理解を進める授業をしたり、人権週間を利用して家庭科・保健体育…などの教科でも授業をしている。「10年・20年後に将来の世田谷を背負ういまの子どもたちが学ぶことによって、必ず差別のない世田谷がつくれる。未来の世田谷から差別をなくすための教育に取り組む」との思い。

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道徳の授業の教材として使われている、絵本「タンタンタンゴはパパふたり」(ポット出版)

(7)文京区 6月9日

●文京区職員・教職員のための「性自認および性的指向に関する対応方針」

・区民等への対応

①窓口や電話での応対―本人確認は番号等で対応し、氏名を呼ぶ場合も苗字だけにする、必要のない性別欄は削除する/所管事業の見直しとして、現行制度上「親族であること」を条件とするものの条件緩和/行政サービスの申請時などにはパートナーは異性と限らないことも踏まえる。

②公共施設の利用は性自認に配慮し、性別区別を廃止した『誰でもトイレ』『誰でも更衣室』をつくる。

③災害時の対応として、地域防災計画の見直しや避難所運営マニュアルの作成には専門家や当事者の意見を反映させる。

・子どもを取り巻く環境

▽性的指向・性自認にもとづく差別・いじめに厳しい態度で臨む ▽相談体制や情報を得られる環境 ▽更衣室やトイレの配慮 ▽教職員の研修 ▽発達段階に応じた人権教育の実施 ▽多様なロールモデルを前提とした進路指導 ▽健康診断や宿泊行事に配慮 ▽標準服や体育着、水着など希望するものの着用を認める ▽提出書類や生徒証、卒業証書など性別記載の必要の有無の見直し ▽通称使用を検討する―などを、きめ細かく求めている。

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(8)札幌市 7月3日

・「レインボーマーチ」などに取り組んできた当事者の要望を出発点に、2017年6月からパートナーシップ宣誓制度を実施。政令市で初。「同性」としなかったのが特徴。高額な費用のかかる性別適合手術を経た戸籍上の性の変更をできない当事者の方も、パートナーシップ宣誓制度を利用できる。

・電話相談、出前講座、職員研修なども実施。

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今後も、この分野の視察と政策研究を進め、川崎市に実現を求めてまいります。

片柳すすむ

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