片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党前川崎市議会議員
議会活動報告

決算審査-仮放免など非正規滞在外国人の人権保障を

2022年9月23日

決算審査特別委員会・文教分科会(1日目)で、地域の安全対策、在留資格のない外国人の人権、子どもの医療費助成制度について質問しました。
今回は『仮放免など非正規滞在外国人の人権施策について』のテーマを報告します。

(この記事はメモに基づくもので議事録ではありません)

今回の質問は、『第13回・生活保護問題議員研修会』(主催:生活保護問題対策全国会議・全国公的扶助研究会)のオンライン講座で学んだことをきっかけに行いました。
またその中で知った、日本弁護士連絡会のパンフレット『非正規滞在外国人に対する行政サービス』(↓画像)の内容を参考にして質問しました。このパンフレットは中国語版と英語版も下記のアドレスにあります。ご参照ください。

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https://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/publication/pamphlet.html

質問① 「仮放免」の人数の増減は

11款2項1目・区政総務費のうち、戸籍住民基本台帳費について伺います。

住民基本台帳法の附則では「仮放免許可を受けた者その他非正規在留外国人が行政上のサービスを受けられる」制度をつくるよう政府に求めたことから、市にも仮放免の方の情報が送られています。『仮放免』とは、入管法に基づき収容されている方が、病気その他やむを得ない事情がある場合、収容を停止し、拘束を解かれることです。この仮放免の方は全国で5910人いるとのことです。

まず、2019年度から2021年度までの3年間について、新たに仮放免となった方、仮放免が失効した方と転出入のあった方など、本市での仮放免の方の人数の増減を伺います。

答弁 市民文化局 戸籍住民サービス課長

川崎市内における被仮放免者の増減についての御質問でございますが、
令和元年度は、 7人の増、 15人の減、令和2年度は、18人の増、 11人の減、令和3年度は、 28人の増、14人の減となっております。

質問② 10割負担のうえ「1点30円」を課す公的病院も…川崎市立病院は?

差し引きで19年度は8人の減、以後は7人、14人の増とのことです。仮放免の方は国民健康保険にも入れないため医療費は10割負担となります。しかし、通常、医療費は「1点10円」で計算されるところ、海外の富裕層のための医療ツーリズムへの対応で「1点30円」などとしている公的病院もあり、仮放免の方や在留期間が切れてしまった方にも「1点30円」としている例もあるそうです。川崎市立3病院(川崎病院・井田病院・多摩病院)では、そうした対応はしていないのか、伺います。

答弁 病院局 経営企画室担当課長

市立病院の外国人患者に対する医療費についての御質問でございますが、外国人の方につきましても、通常の医療費と同様に1点10円で計算しております。

質問③ 「緊急医療機関外国人医療対策費補助金」とはどんな制度か

「1点10円」でも10割負担だと相当重い負担です。今後も、仮放免の方などには、少なくとも現行の対応を続けるよう要望いたします。

次の質問です。仮放免の方は、就労も禁止されています。その上医療費は10割負担ですから、普段から医療を受けずに我慢して、最終的には悪化して倒れて救急で運ばれる、もしくは無料低額診療を行っている医療機関にかからざるを得ない、という実態にあります。そうなれば本人は医療費が払えず、無保険で10割負担ですからすぐに数百万円単位の未収金が医療機関にかかることになります。

本市の「救急医療機関外国人医療対策費補助金」は、どういう場合に使える制度なのか、また直近5年の予算額と決算額とその内訳を伺います。

答弁 健康福祉局 保健医療政策部担当課長

救急医療機関外国人医療対策費補助金についての御質問でございますが、

当該補助金は、本市における救急医療体制の円滑な運営に資することを目的とした制度でございまして、外国籍の市内居住者が、県内の医療機関において救急医療による治療を受けた際に、医療費の支払いが行われずに発生した損失医療費について、当該医療機関を対象に補助を行うものでございます。

原則として、入院の日から 14日、一件あたり 100万円を上限として、当該医療機関が回収に努力をしたにもかかわらず生じた前年度の損失医療費が対象となりまして、公的医療保険制度に加入している者や、各種法令に基づき医療費の支払いが行われる場合は、本制度の対象外となります。

次に、直近5年の予算額、決算額及びその内訳についてでございますが、

平成29年度、予算額165万円、決算額0円、

平成30年度、予算額165万円、決算額は、 1件で20万3千円、

令和元年度、予算額165万円、決算額0円、

令和2年度、予算額165万円、決算額は、 1件で99万円、

令和3年度、予算額150万円、決算額は、 1件で25万9千円となっております。

質問④ 医療事務が「心が折れそう」という制度…予算増と改善を

予算額は165万円、患者一人あたりの上限は100万円で、入院14日分のみ対象、また医療機関が1年間回収の努力をした結果、その後請求してようやく補助金が受け取てるという仕組みで、年1件あるかないかの利用状況とのことです。

先ほど述べたように数百万円の医療費となるケースも多々あります。また民間の医療機関では、1年間本人からの回収の努力をしてさらに申請しても満額出ないなど、事務の方が「心が折れそうになる」というほど、この補助制度は負担が大きいという声が寄せられています。

まずこの救急医療にかかる補助金の予算を増やすべきです。次に医療現場の実態を聞いて制度の使い勝手などの改善策を打ち出すこと、また救急医療以外への医療費負担の対応策を検討すべきですが伺います。

答弁 健康福祉局 保健医療政策部担当課

救急医療機関外国人医療対策費補助金についての御質問でございますが、

本制度につきましては、損失医療費に係る医療機関の負担軽減を図るとともに、人命救助の観点から、外国人の不慮の傷病等に対応する緊急的な医療を確保するため、救急医療を補助の対象としているものでございます。今後も執行状況等を踏まえながら、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

また、補助金の執行にあたりましては、医療機関における医療費の回収状況等の事実確認を行う必要があることから、相応の事務負担をお願いしているところでございますが、引き続き、医療現場の声を伺ってまいりたいと存じます。

質問⑤ 無料低額診療・救急医療を行う医療機関の負担軽減を

国に仮放免など在留資格のない外国人への医療費について、無料低額診療や救急医療を行う医療機関に負荷がかかっている状況について改善を求めるべきと思いますが伺います。

答弁 健康福祉局 保健医療政策部担当課

医療機関の負担軽減についての御質問でございますが、

厚生労働省では、外国人対応に関する課題が発生した際に、医療機関関係者に対して助言や情報提供を行う「夜間・休日ワンストップ窓口」の設置や、医療費不払いの発生防止に取り組む資料を公開するなど、医療機関向けのサポートを行っているところでございます。

本市におきましても、既存のサービス等について、市内医療機関に適切な情報提供を行うとともに、医療現場の実態を県などと共有しながら、必要な対応を図ってまいりたいと存じます。

質問⑥ 仮放免のお子さんを含め外国籍の子どもの教育を受ける権利保障の状況は?

医療現場からよく実態を聞いて頂き、国・県に改善を求めるよう要望します。

次に仮放免の方等への行政サービスについてです。公務員には通報義務があるものの、閣議決定で「通報すると行政機関の目的が達成できない場合は…通報するかどうかを個別に判断できる」とされており、在留資格のない方々への柔軟な行政サービス提供は当然のことです。

まず、こうした外国籍の子どもの教育を受ける権利について、どう対応しているか伺います。仮放免の児童生徒は住民登録されていませんが、どう把握し就学機会を提供しているのか、伺います。

答弁 教育委員会事務局 学事課長

外国人の子どもの就学についての御質問でございますが、

外国人の子どもにつきましては、在留資格の有無にかかわらず、区役所等へ就学申請の手続きをしていただくことにより、市立小中学校へ受け入れております。

また、外国人の子どもがいる世帯等に対し、市立小中学校へ入学ができること等をお知らせするため、就学案内を10力国語、就学ハンドブックを9力国語で作成し、住民基本台帳を基に対象の世帯に送付するほか、転入時に配布しております。

なお、就学案内と就学ハンドブックについては、国際交流センター、ふれあい館、区役所、支所・出張所、市民館、図書館、幼稚園、保育所及び市立小中学校などで配布しているほか、就学案内をホームページや市政だよりに掲載するなど、仮放免の外国人等、住民基本台帳に記載されていない方を含め、該当者に行き届くよう関係部署と連携いたしまして情報提供を行っているところでございます。

質問⑦ 在留資格のない方の予防接種の状況は?

次に予防接種についてです。在留資格のない方も定期予防接種を受けられるとされています。また感染症予防の観点からも積極的な接種の勧奨が必要です。仮放免の方などへの接種券の発送をどのように行っているのか、伺います。

答弁 健康福祉局 新型コロナウイルスワクチン調整室担当課長

仮放免者や在留資格のない外国人の方への予防接種についての御質問でございますが、

はじめに、新型コロナワクチン以外の定期予防接種につきましては、接種を希望する場合は申請書類等を御提出いただき、居住実態等を確認したうえで、予診票を交付しております。

次に、新型コロナワクチン接種につきましては、国通知に基づき、接種を希望する方の居住実態等を確認したうえで、接種券を交付しております。

質問⑧ 出産や母子手帳の状況は?

次に出産などについて伺います。母子保健法16条や児童福祉法22条で、在留資格のない外国の方も母子手帳の交付や入院助産などが受けられるとされていますが、どう対応しているのか、伺います。

答弁 こども未来局 こども保健福祉課長

在留資格のない外国人への対応についての御質問でございますが、

母子健康手帳の交付につきましては、国は、母子健康手帳の交付を受ける者の居住地の市町村が行うものであるとしており、本市におきましても、妊娠届出のあったすべての妊婦に交付しております。

また、入院助産制度につきましては、助産の実施を行う必要があると認められる妊産婦に対し、助産の実施の申込の勧奨をすることとしております。

これらの手続きについては、お住まいの区に御相談いただくよう、市ホームページに記載しておりまして、在留資格がないなど個別の事情を抱える方からの相談につきましては、窓口においてお伺いし、必要な御案内をしているところでございます。

質問⑨ 在留資格のない外国人も受けられる住民サービスの「見える化」を

就学、予防接種、出産は在留資格のない方も受けられる体制になっているとのことでした。またインターネットなどで広報していることも事前に伺いました。しかし仮放免など在留資格を失った方が、受けられる行政サービスはごく一部です。また、当事者の方々にとっては、どんなサービスをどこで受けられるか分かりにくい状態です。

ウェブサイトにアクセスした当事者の方々にもれなくワンストップで、利用できる行政サービスの情報が見えるようにすべきです。まずは少なくともウェブサイトに「在留資格のない方も利用できます」という一覧などをつくり、いま確認した就学、予防接種、出産などの制度を明記すべきと思いますが、伺います。また、国際交流センターにあるワンストップセンターでも、在留資格のない方が利用できるサービスを周知する取り組みをすべきと思いますが、市民文化局長に伺います。

答弁 市民文化局長

仮放免者への行政サービスの周知についての御質問でございますが、

平成24年の住民基本台帳法の改正に伴い、同年7月以降、東京出入国在留管理局横浜支局から被仮放免者に係る情報が通知されるようになり、戸籍住民サービス課で保管し、行政上の便益、サービスの付与に資する目的で、制度所管課からの申請に基づき、閲覧に供することとしているところでございます。

行政サービスの周知につきましては、仮放免の際、各市区町村に直接問い合わせをする旨の案内が本人にされていることから、問い合わせ先としてワンストップセンターの掲載を加えるなど記載内容の充実に向けて、国に要望してまいります。

また、多文化共生総合相談ワンストップセンターにおきましては、外国人市民が生活する上で必要な情報を提供し、さまざまな分野にわたる相談に対応しているところでございますが、・一層の周知に取り組んでまいります。

今後も引き続き、関係機関等との連携を図りながら、仮放免者も含め、外国人市民が健康で安心して安全に生活するために必要な情報や行政サービスを受けられるよう取り組んでまいります。

要望

ご答弁のとおり、仮放免の方の情報が市に届けられるのは、自治体が行政サービスを行うため、という主旨です。就労もできず、医療費も10割負担で小児医療費助成制度も対象にはならない、そんな中、出産・就学・予防接種などごく最低限の制度だけでも、せめてウェブサイトで情報をまとめて掲載して、市が、目の前にいる方々のほんの少しでも人間らしく生活を送れるための支えとなるよう要望します。終わります。

片柳すすむ

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