片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党前川崎市議会議員
市議会傍聴レポート(議会活動報告)

市立病院はLGBT患者に対し配慮した対応をー予算審査特別委員会

2022年3月13日

3月10日、予算審査特別委員会で質問を行いました。今日はその中の【市立病院はLGBT患者に対し配慮した対応を】のテーマについて、報告します。

(その他に質問した項目は「多摩川の洪水を防ぐための堤防かさ上げと浚渫を」「学校教職員の多数が休んだ場合の、学年閉鎖等の対応」「荷待ち車両への対策について」「ファミリーシップ制度(同性パートナーを含めた家族全体を市が公認する制度)の創設を」です)

質問① 保険証記載と違う名前で呼んでほしい、という場合の対応は

次に、いわゆるLGBTの患者への対応について病院局長に伺います。市立川崎病院を受診したトランスジェンダー女性、生まれた体は男性であるものの、性自認は女性であるSさんから、病院の対応が丁寧ではなかった、自分の思いを受け止めてほしかった、という声が寄せられました。

いわゆるLGBT、特にトランスジェンダーの方にとって、生活上の障壁となる大きな場面が医療機関の受診です。受付や会計で自分の見た目とはあわない保険証上の性別の名前で呼ばれること、着替えや診察の際にも保険証と異なる性別の服装や身体をしていることがわかってしまうこと、入院の際には自分の性自認と同じ性別の病室に入院できるのか不明で不快な思いをすることがあること、などの様々なハードルがあり、受診をためらう現実があります。

2020年3月25日の人権施策推進協議会が市長に行った答申「性的マイノリティの人々の人権に関して」では、「トランスジェンダーの人々の権利保護に関しては、まず本人の性自認を重視し、具体的には個人の状況に対応する適切な措置が必要である」としています。さらに具体的にはトランスジェンダーの人々は、性別の変更を望んでいる人、望んでいるができない人、性別の変更を望んでいない人など様々な方がおり、本人の性自認を重視した対応をする必要がある、と述べています。

この答申に沿った対応が必要です。市立3病院の対応として、保険証に記載している名前とは違う名前で呼んでほしいという希望があった場合に、どのような対応をしているのか、伺います。

答弁 (病院局長)

市立病院におけるLGBTの患者への対応についての御質問でございますが、診察券の作成については、保険証に記載の氏名で行っているところでございますが、患者から申出があった場合には、希望する名前でお呼びするなど、必要により個別の事情に応じて柔軟に対応しております。

質問② 診察や検査・入院などでの対応は?

 次に、診察、検査、入院などに当たって、保険証とは違う性別での対応を希望された場合に、どのように対応しているのか、伺います。

答弁(病院局長)

診療等における対応についての御質問でございますが、市立病院での受診にあたり、患者から個別に申出があった場合には、基本的に本人と相談しながら、なるべく御理解をいただけるよう必要な配慮に努めております。

例えば、トイレの利用については多目的トイレへ案内し、検査時の着替えの際には個別に対応しております。

また、入院時の病室は、個室や多床室の利用状況等を示しながら、可能な限り御希望に添えるよう調整しております。

質問③ 「性自認や性的指向に関わる配慮をしてほしい」と言いやすい市立病院に

Sさんは、市立病院での対応を不満に感じて、その後民間医療機関を受診したものの、そこでも十分に配慮された対応がされなかったそうです。

その後Sさんは、バイセクシャルだと公表されている民間医療機関の理解あるドクターと出会うことができて、その医療機関の院長や所長などとも問題が起こるたびに抗議もしつつ相談をしながら病院の対応を改善してきたそうです。

病院のLGBT対応

Sさんは女性としての名前を書いた名札をつくり、カルテに診察券と一緒に挟んでもらうことを病院側と決めたとのことです。こうすれば、保険証と診察券には男性の名前が書いてあるけれども、ご本人の性自認は女性だと一目でわかり、病院のスタッフが配慮をしやすくなります。また検査などで別の科にかかるときにも、理解のある主治医から「こういう性自認の方がそちらに行きます」と事前に申し送りをしてもらうことで安心して診察を受けられるようになった、と話されています。

これは民間病院の事例ですが、今後、川崎市立病院がこうした人権に配慮した対応を行い、民間医療機関をリードする役割を果たすべきと思います。また、個室での対応は差額ベッド代がかかるため医療を受けるハードルになります。本人の都合で個室を使用するわけではないのですから、配慮した対応を検討して頂くよう要望しておきます。

Sさんは、市立病院の受付はじめ問診や診察などの場面で、なかなか自分がトランスジェンダーだと言い出せなかったし、言い出しにくい雰囲気を感じた、と話しています。また、小さくてもいいので虹の旗を受付に置くなどして「LGBTの当事者だ」と言いやすい環境を作ってほしい、と話されていました。

 受付や相談などの窓口や病院のHPなどで、性自認や性的指向にかかわる対応の希望を出しやすくする配慮をすべきと思いますが、伺います。またそうした希望が出された場合にプライバシーを守りながら相談を受けられるよう、個別対応の可能な相談ブースなどを配置するべきと思いますが、伺います。

答弁(病院局長)

患者への配慮についての御質問でございますが、市立病院では、LGBTをはじめ、様々な事情を抱えた大変多くの患者に日々対応しており、トランスジェンダーのみならず、すべての患者に対して、安心して受診していただけるような環境整備は大変重要と考えております。

このような観点から、受付や窓口をはじめ、院内のスタッフに対して、さらなる人権意識の醸成を図るとともに、限られた資源を有効活用しながら、柔軟な個別対応に努めてまいります。

要望 「申し出があれば」ではなく、すぐに研修などの対応を

これまでの答弁は基本的には「申し出があれば」対応する、ということでした。当事者のカミングアウトを前提にするのではなく、はじめから配慮した対応が必要です。「人権意識の醸成」を図ると言われましたが、すでに人口の7%前後いるという方々への、現実の対応が求められています。市内には先進的に取り組んでいる民間医療機関もあります。直面した問題として、院内のスタッフへの研修などを行うよう要望します。

同時に、市立病院の側から「性自認・性的指向に関わる相談ができる」「配慮するので言ってほしい」とアピールすることは、ポスター掲示でもレインボーの小旗を掲げることでも、今すぐにでもできるはずです。申し出がしやすくする取り組みを要望します。

資源を有効活用して柔軟な個別対応に努めるとの答弁でした。各病院には患者や家族と相談する個室やブースなどが既に設置されていますので、相談への対応に柔軟に活用して頂くようお願いします。

片柳すすむ

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