片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党川崎市議会議員
議会活動報告

予算審査特別委員会 非正規雇用の増・こどもの貧困ー実態に見合う高校奨学金の拡充を

2021年3月13日

予算審査特別委員会での質問、最後に報告するのは「高校奨学金の拡充」の問題です。
ほかに①ヘイトスピーチ、②少人数学級、③定数内欠員と臨時任用教員、④図書館のあり方、のテーマで質問を行いました。

*正式な議事録は後日議会から発表されるものをご覧ください。

コロナによる奨学金制度利用者の実態を把握しているか

最後に高校奨学金についてです。
コロナ禍で家計が深刻な状況に陥る高校生と保護者が増えています。相模原市教委は高校奨学金を利用する生徒と保護者を対象に毎年アンケートを実施しています。昨夏のアンケートではコロナの前と後では「高校卒業までに、経済的な理由で高校に通い続けられなくなるかもしれないと不安に感じる」と答えた方の割合が35%から45%に増加するなど、深刻な状況です。
本市では奨学金利用者の実態をつかんではいないとのことですので、年度途中に家計が急変するなどして就学援助制度の申請をされた方の数や状況について伺います。
また今後、相模原市が行っているような、奨学金制度の利用者の生活実態をつかむためにアンケートなどを行うべきと思いますが、伺います。

答弁 教育次長

就学援助制度等についての御質問でございますが、
就学援助制度につきましては、今年度、新型コロナウイルスの影響による家計急変を理由に申請された方は167人で、そのうち認定となった方は、99人でございます。
また、高等学校奨学金制度につきましては、必要な方に支給しているところでございますので、現在のところ、生活実態の把握をすることは予定しておりません。

「コロナによる生活急変」の場合、年度途中でも利用できるように

相模原市では、「会社を解雇または雇止めされ、求職中」の場合など、コロナの影響で家計が急変した世帯は年度途中に奨学金制度を利用できるとしています。失業などで収入要件を満たすようになり、成績要件も満たしているのであれば、年度途中でも奨学金を利用できるようにすべきですが、伺います。

答弁 教育次長

高等学校奨学金についての御質問でございますが、
学年資金につきましては、例年6月下旬頃まで申請を受付け、採用者を決定しているところでございます。
申請の受付期間が終了した後は、世帯主が死亡した場合や、震災、風水害、火災等の災害を被った場合に、奨学生として追加決定をする緊急採用の制度がございます。

緊急の対応を

奨学金制度利用者の実態も分からないし、必要な人に支給しているので把握しない、コロナ対応もしないということです。しかし就学援助利用者では少なくとも99人が、コロナの影響で学びに支障が出ているのです。緊急の対応を求めます。

高校奨学金制度は、いつ、どんな背景と目的で、できたのか

高校奨学金制度は、生活保護基準に相当する程度の収入要件と、5段階で3.5以上の成績要件があるため、中学時代に不登校だった生徒などは収入が厳しい状態でも1年次には制度を利用することができません。

高校奨学金-1

そのため私たちは、成績要件をなくすか、新たに経済的に厳しい世帯への修学支援の制度をつくるよう求めてきました。
しかし、答弁は毎回、「能力があるにもかかわらず、経済的理由のため修学が困難な生徒を対象とした制度なので、一定の成績要件の設定は必要と考える」というものです。
高校奨学金支給条例は、いつ制定されたのか、どのような背景や目的で「能力があるにもかかわらず就学が困難な生徒」が対象とされ、成績要件が設定されたのか、伺います。

答弁 教育次長

高等学校奨学金についての御質問でございますが、
川崎市高等学校奨学金支給条例は、昭和37年3月31日に「川崎市奨学金条例」として制定し、平成5年3月26日に、現在の名称に改正しております。
条例制定当時の詳細な背景や目的、成績要件は不明でございますが、提案理由といたしましては、「能力あるものに対して援助奨学することが望ましく、新しく高等学校の奨学制度を立てて、育英の道を進めたい」とされているところでございます。

59年前と違う「非正規・こどもの貧困」の状況ふまえ、意欲ある生徒を応援する制度に

子どもの貧困が広がる中で、成績要件を問わない給付型奨学金制度を新たに始める自治体が増えています。
相模原市もその一つで、3年前、導入した理由を「子供の貧困と学力には相関関係があるといわれていることから、教育の機会均等を図り、学習意欲のある生徒が経済的な理由により修学を断念することなく安心して学ぶ」ため、などとしています。
今年度から開始した岡山市長も「非正規の方々の困窮状態などは子どもたちの学習環境に影響し、成績が悪くなっていくケースも十分考えられる。貧困の連鎖を避けるということ」と述べています。

本市の奨学金条例は1962年に制定されたとのことでした。高度成長のもと県が高校100校計画を開始していく時期で、当時の高校進学率は73%という時期です。

高校奨学金-2
それから約60年、高校進学率は99%となる一方で、非正規労働が大きく広げられ、中卒の方の就職は極めて厳しい状況です。2018年の厚労省の若年者雇用実態調査によると、中卒の正社員率はわずか35%、非正規の中でも「期間の定めのある」不安定な働き方をしている方は3分の2。これに対し高卒の正社員率は56%、大卒は81%です。少なくとも高校まで卒業しなければその後の生活は極めて不利な状況に置かれます。

高校奨学金-3

岡山や相模原が指摘した貧困の連鎖も深刻です。文科省の「子どもの学習費調査」では、塾や家庭教師、図書などの費用「補助学習費」は、公立中学生では年収400万円未満の世帯が1年に16万3千円。それに対し、1200万円以上の世帯は36万1千円です。収入の少ない世帯の子どもは最初から大きく差がつけられています。

高校奨学金-4

59年前に設定された成績要件は、非正規労働が広がり格差や子どもの貧困が広がるという今の社会状況に相応しくないと考えますが、教育長はどのように考えるのか、伺います。
市は子どもの貧困対策として「既存制度の底上げが必要」としながら、これまで教育委員会は実際の底上げに着手してきませんでした。今こそ相模原市や岡山市、京都市などが実施しているような、成績を問わず意欲のある生徒を応援する奨学金または修学支援制度に改めるべきです。教育長に伺います。

答弁 教育長

高等学校奨学金についての御質問でございますが、
本制度は、創設当初は、市内の公立高等学校のみを対象とし、昭和43年度には、私立高等学校も対象に加え、平成25年度には、支給額を学年等に応じた金額に見直し、平成28年度には、高等専門学校等を対象に加えることで、制度を充実してまいりました。
また、平成28年度からは、申請基準を満たした方への支給金額が予算を上回った場合には、必要な予算を確保して対応を図るよう運用を改善しているところでございます。
本市の制度は、能力があるにもかかわらず、経済的理由のため修学が困難な生徒に対し奨学金を支給することを目的としたもので、奨学生として決定する上で、住所要件、所得要件、成績要件は、必要な基準と考えております。
今後につきましても現在の制度を適切に運用してまいります。

子どもの貧困対策として位置づけた「既存制度の底上げ」が全く進んでいない

貧困の連鎖を危惧して、成績を問わない給付奨学金を始める自治体が増える中でも「今まで通りに制度を運用する」とのことで、奨学金を利用している世帯の実態を把握することもしない、ということでした。
り返し指摘してきましたが、2017年の『こども・若者生活調査』の結果を踏まえて、その後『こどもの貧困対策の基本的な考え方』に、社会的相続の補完のため既存制度の底上げが必要な視点だとされ、『子ども若者の未来応援プラン』にも位置付けられました。それなのに、4年経っても、位置付けた方向にまったく進みません。早急に改めて子どもの貧困対策を進めることを求めて、質問を終わります。

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