片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党川崎市議会議員
議会活動報告

決算特別委ー就学援助・高校奨学金の「底上げ」で子どもの貧困対策を

2020年9月25日

9月25日の決算審査特別委員会・文教分科会(教育委員会)について、質問と答弁を報告します。

質問① 概要と就学援助

こどもの貧困対策について伺います。川崎市は2017年に「こども・若者生活調査」を行い、所得水準が学びや進学に影響を及ぼすこと、貧困は本人の自己責任で避けられないことなどを明らかにしました。その後の『こどもの貧困対策の基本的な考え方』では、社会的相続の補完のため既存制度を底上げしていくこと、貧困の状況にありながらSOSを出せない人に支援を届ける「アウトリーチの考え方による支援」が必要な視点だ、としました。

就学援助制度は、生活保護基準に準じた所得が基準となっています。2013年から生活保護基準の引き下げが続いていますが、その前の2013年度と2019年度の認定者数と認定率を、小学校と中学校でそれぞれお示し下さい。また市の制度案内の「4人世帯の場合の対象となる世帯所得」についても同様にお示し下さい。

答弁① 学事課長

就学援助についての御質問でございますが、平成25年度につきましては小学校の認定者数は、 6,493人、認定率は9.2%中学校の認定者数は、 3,782人、認定率は13.2%となっております。

令和元年度につきましては、小学校の認定者数は、7,981人、認定率は10.7%中学校の認定者数は、 4,446人、認定率は15.2%となっております。

また、 4人世帯の場合の、対象となる世帯所得につきましては、平成25年度は約349万円、令和元年度は、約330万円となっております。

質問② 高校給付奨学金と大学貸与奨学金の状況

就学援助

2018年10月からの生活保護基準にあわせ引き下げなかったことは重要ですが、2013年から所得で19万円就学援助基準が下がっています。「底上げ」どころか、底が下がっていると言わざるを得ません。

同時に「底上げ」が求められる奨学金ですが、2017年度と2019年度の、高校奨学金の学年資金の申請者と新入生ふくめた利用者の人数をお示しください。また大学奨学金についても同様にお示しください。

答弁② 学事課長

奨学金についての御質問でございますが、高等学校奨学金学年資金につきましては、平成29年度の申請者数は967人で、うち採用者数は780人、令和元年度の申請者数は882人で、うち採用者数は702人となっております。

また、大学奨学金につきましては、平成29年度の申請者数は13人で、奨学生は36人、令和元年度の申請者数は20人で、奨学生は37人となっております。

質問③ スクールソーシャルワーカーの配置

高校も大学も基本的には横ばいで「底上げ」には至っているとは言えません。

『こどもの貧困対策の基本的な考え方』のもう一つの柱が、貧困などの状況にありながらSOSを出せない人たちに支援を届けるための「アウトリーチの考え方による支援」です。教育委員会ではスクールソーシャルワーカーが重要ですが、この間の配置状況について伺います。

答弁③ 教育政策室担当課長

スクールソーシャルワーカーの配置状況についての御質問でございますが、

平成25年4月に各区の区・教育担当へ1名ずつの配置を整え、その後、平成27年4月に川崎区のスクールソーシャルワーカーを1名増員し、令和2年度現在、 8名体制としております。

質問④ 既存制度の底上げ・アウトリーチ支援強化の検討・協議状況

「子どもの貧困対策」のために「既存制度・施策の底上げとアウトリーチの考え方による支援」を基本的な視点としたのに、奨学金も就学援助も底上げされず、スクールソーシャルワーカーも2015年以降同じ体制のままです。

国の子どもの貧困対策の「大綱」では、学校を推進のプラットフォームと位置付けており、市の『基本的な考え方』でも「学校教育を中心に様々な福祉施策により補完を行う」としています。「既存制度・施策の底上げとアウトリーチの考え方による支援」の重要性を、教育委員会としてどのようにとらえ、具体化に向けた検討や協議はどのように行ってきたのか、伺います。

答弁④ 教育政策室担当課長

子どもの貧困対策についての御質問でございますが、

国の「子供の貧困対策に関する大綱では、教育の支援策のひとつとして地域に開かれた子供の貧困対策のプラットフォームとしての学校指導・運営体制の構築」が示されております。このため、教育委員会では、学校に通う全ての子どもの学力を保障することはもとより、子どもとその家庭の状況を的確に把握し、必要に応じて福祉部門などの関係機関と連携しながら、既存制度・施策の底上げや指導・運営体制の強化を図ってまいりました。

平成30年3月に策定された「川崎市子ども・若者の未来応援プラン」におきましては、地域の寺子屋事業や児童生徒支援・相談事業、さらに定時制生徒の自立支援などの事業を子どもの貧困対策に関わる取組として位置づけ、教育・福祉・保健等のあらゆる分野が連携し、施策の推進を総合的に図っているところでございます。

また、教育委員会では、スクールソーシャルワーカーの配置に加え、平成29年度から小学校全校で児童支援コーディネーターを専任化するなど、子どもの貧困を含めた多様な教育的ニーズに対して適切な支援を行うための体制を構築してきたところでございます。

今後も引き続き、本市における子ども・子育て施策について、庁内で総合的に推進することを目的に設置された「こども施策庁内推進本部会議」への参画とともに、要保護児童対策地域協議会等を通じて、地域みまもり支援センターや児童相談所など関係機関との情報共有や連

携を深め、支援が必要な子どもを早期に発見し、一人ひとりに必要に応じた支援が行き届くよう努めてまいります。

質問⑤ スクールソーシャルワーカーの課題

「こども若者生活調査」の支援者ヒアリング調査では、「福祉部門へどう声をかけてよいか分からない。反対に福祉部門も学校へどう声をかけてよいか分からないのではないか。福祉と教育がつながる仕組みが必要」「学校の中に福祉部門につながるようなつなぎ役が必要」などの声が寄せられているように、アウトリーチの強化策として、スクールソーシャルワーカーの役割が求められています。

本市が文科省に提出した資料では、「スクールソーシャルワーカーの資質向上」「活用している学校が6割にとどまっている」のが課題だとされていますが、その原因をどうとらえているのか伺います。

答弁⑤ 教育政策室担当課長

スクールソーシャルワーカーについての御質問でございますが、

近年、いじめ、不登校、貧困等、児童生徒が抱える課題の複雑化・多様化に伴い、一人ひとりの状況に応じた適切な支援が求められていることから、スクールソーシャルワーカーの更なる質的向上が必要となっております。

このため、昨年度から、専門分野の講師を招きスーパーバイズの回数を増やすとともに、関係機関等との情報交換会を定期的に設けるなど、スクールゾーシャルワーカーの質的向上に努めているところでございます。

また、スクールソーシャルワーカーを活用している学校の割合につきましては、児童支援コーディネーターの全校配置や支援教育コーディネーターの拡充等により、関係機関との連携が強化され、学校が直接、地域みまもり支援センターや児童相談所など適切な相談機関に繋ぐことができるようになったことなどから、その割合もー定に留まっているものと考えておりますが、支援が必要な児童生徒のケースによっては、スクールソーシャルワーカーの専門性が有効な場合もございますので、各学校に対し、引き続き積極的な活用を周知してまいります。

質問⑥ スクールソーシャルワーカーの配置拡大

文科省に市が提出した資料では、6割にとどまった一つの原因は、SSWと学校職員との「顔の見える関係」ができていないこと、としています。それならばSSWの配置数を増やして、学校に通う頻度を増やすこと、教職員と連携して児童生徒にかかわる機会を増やすことが、最大の対策ではないでしょうか。しかし、現在の8人の配置では1人で中学校7校・小学校15校を受け持つことになります。

福岡市は、2018年度に69人を配置した結果、前年比で相談件数は2.8倍の4450件に増え、「潜在的ニーズが掘り起こされ、学校や関係機関と連携しながら課題解決へとつなが」った、としています。

また、多忙な教員に負担をかけず、学校でスクールソーシャルワーカーが動きやすくする工夫した配置が必要です。

さいたま市は2017年の20人から、昨年度までに42人に増員して小学校に配置。他に総合教育相談室の常勤の精神保健福祉士7人がスーパーバイザーを担当して学校訪問を行うなどつなぎ役をしています。

横浜市も通常のワーカー40人の他に、統括ワーカー4人を含む正規職員6、さらに担当係長2名を配置して連携を強めています。

これらを参考に、現在区のみまもり支援センターに配置されている福祉職などの中からスクールソーシャルワーカーの「リーダー」「つなぎ役」となる専門職の職員を配置して、学校と福祉が強く連携したアウトリーチ支援ができるようにすべきですが、教育次長に伺います。

文科省の本年度予算では、スクールソーシャルワーカーの全中学校区への配置、貧困・虐待対策としての重点配置、スーパーバイザーの配置が含まれています。これらも活用してアウトリーチ支援の一翼を担うスクールソーシャルワーカーを増員すべきですが教育次長に伺います。

答弁⑥ 教育次長

スクールソーシャルワーカーについての御質問でございますが、本市におきましては、行政区に保健所や福祉事務所等の機能が整備されている政令市の強みを生かし、平成22年度から、区・教育担当を配置することで、行政区の中で教育と福祉部門が緊密に連携できる独自の取組を進めてきたところでございます。

また、スクールソーシャルワーカーを中学校区への配置によらず、区・教育担当に配置することで、福祉部門等の関係機関との連携を深め、児童虐待や家庭の貧困など学校だけでは対応が困難な事例等におきましても、学校からの依頼等に基づいて、家庭に対して環境調整を行うなど、その専門的知見とネットワークを生かした支援・援助に取り組んでいるところでございます。

しかしながら、子どもを取り巻く環境は年々変化し、支援を必要とする児童生徒の支援二―ズも複雑化・多様化していることから、これまでの取組を進めるとともに、更なる支援の充実に向けて検討してまいります。

質問⑦ 高校奨学金の拡大

高校奨学金についてです。生活に困窮しているこどもは不登校をはじめ学びでもつまづきがちであり、貧困の連鎖を防ぐためにも京都市のように成績要件を事実上緩和することを求めてきました。5年前の「ひとり親家庭・就労状況等実態調査」でも「学力が低くても奨学金を受けられるようにしてほしい」との声が寄せられています。

高校奨学金の要件を改めるか、もしくは、新たに別の制度をつくって、貧困を理由に高校での学びができないという子どもをなくす手立てをとるべきですが、教育次長に伺います。

答弁⑦ 教育次長

高等学校奨学金制度についての御質問でございますが、本制度は、能力があるにもかかわらず、経済的理由のため修学が困難な生徒に対し奨学金を支給することを目的としたものであり、成績要件の設定は、制度の趣旨に照らし、必要であると考えているところでございます。

成績要件を伴わない制度といたしましては、国の制度である高等学校等就学支援金や、県の制度である神奈川県高校生等奨学給付金制度がございますので、それらの制度を利用していただけるものと考えております。

質問⑧ 就学援助の調査実施

就学援助についてです。これまでも沖縄県の事例等をあげて指摘してきましたが、そもそも制度を知らない、周りに支援を受けていることを知られたくない、という理由で就学援助を利用していない世帯が多くいます。

本市の「ひとり親家庭の実態調査」では、ひとり親家庭の31.5%が就学援助制度について「施策を知らない」と答えています。貧困などの状況にありながらSOSが出せない人に制度を届ける、と言うのであれば、まずは就学援助制度を知らない人がどの程度いるのか、利用できない・したくないという理由がどこにあるのか、調査すべきですが、教育次長に伺います。

答弁⑧ 教育次長

就学援助についての御質問でございますが、就学援助の周知及び申請漏れを防ぐことを目的として、平成26年度から平成30年度までは、学校を通じて、児童生徒全員に募集案内を配布してまいりました。

令和元年度からは、教育委員会から各世帯へ直接送付して周知を行っております。

また、申請時においては、学校を通じて回収するためプライバシーに配慮して就学援助を必要としない方も含めて全員から申請書を回収しております。

教育委員会といたしましては、現在全世帯に募集案内を配布しておりますので、周知は図られているものと考えております。

質問⑨ 就学援助の拡充

周知されている、調査もしない、ということですが、今年3月の小学校の就学援助認定率は政令市平均14%に対し、本市10.7%。中学校では政令市17.5%に対し、15.2%。川崎市は利用率が低いのです。せめて調査は行うべきです。

文科省の調査で就学援助基準が生活保護の「1.3倍以上」の自治体は約7割。「1.1倍以下」はわずか13.5%、川崎市は「1.0倍」ですから、全国最低水準です。 

文科省の調査では、2018年10月からの「生保基準引き下げが就学援助に影響する」と答えた147自治体のうち123自治体、8割以上が生保基準の係数を1.2倍から1.3倍に引き上げたりして、影響が出ないようにした、と答えています。

『子どもの貧困対策の考え方』で「既存制度を底上げする」とした、まさに最大の子どもの貧困の予防策であり、貧困への直接の対応策ともなるのが就学援助制度です。その基準を現在の生活保護基準の1.0倍から拡大して、より広い世帯をカバーすべきです。教育長に伺います。

答弁⑨ 教育長

就学援助についての御質問でございますが、本市におきましては、就学援助の認定に際し、生活保護を受給している要保護者に加え、生活保護基準額の1.0倍以下の所得を基準とした準要保護者に対して就学援助費を支給しているところでございます。

各自治体が採用している生活保護基準額に乗じる倍率や参照している生活保護の扶助の種類は、様々でございますので、単純な比較はできませんが、本市が採用している基準額は、要保護者に準ずる程度に困窮しているという観点から、必要な水準を満たしているものと考えております。

最後の意見

就学援助 政令市 県内自治体-1

単純に比較できないと言いますが、文科省は、4人家族のモデル世帯での就学援助基準の「目安額」を、自治体ごとに示しています。2017年度の県内状況は、500万円の清川村をはじめ、厚木市が460万円、相模原市449万円などで、川崎市の339万円は比較できる県内32自治体中24位です。

また「要保護者に準ずる程度の困窮という観点で、必要な水準を満たしている」との答弁でしたが、いま問題なのは、市が、子どもの貧困対策のためにこども若者プランに定めた「既存制度の底上げ」「アウトリーチ支援」の観点です。

そこから見て、奨学金も就学援助も「底上げ」しようという姿勢はまったく感じられませんでした。今後の拡充を強く求めて質問を終わります。

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