片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党川崎市議会議員
議会活動報告

市民ミュージアムの危機管理マニュアルに「収蔵品」についての項目がないとは?!

2020年3月13日

3月10日の川崎市議会予算審査特別委員会で、以下の5点について質問しました。

①一斉休校措置-非常勤の教職員の給与補償を、②八丁畷駅前踏切の拡幅、③休日診療所の施設整備、④台風19号にかかわり河港水門とJR京浜東北線ガード部からの出水とその対応について、⑤市民ミュージアムの被災について

です。

今日は「⑤市民ミュージアムの被災について」を報告いたします。
(議事録ではありません。正確には後日発表される議事録をご覧ください)

川崎市民ミュージアムは地下収蔵庫が浸水したことにより22万9千点の収蔵品が被災しています。

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(川崎市の報道発表資料から抜粋)

現在も収蔵品の搬出、修復作業が続けられています。

それでは質問と答弁です↓↓

質問1 危機管理マニュアルに、なぜ「水害時の収蔵品の定め」がなかったのか(片柳)

フランス・パリのルーブル美術館、オルセー美術館はいずれもセーヌ川に面していますが、2016年の豪雨の際などには地下の美術品を上階に避難させています(https://www.afpbb.com/articles/-/3089244)。
栃木県小山市の白鴎大総合図書館の分館は、台風19号時に地下が約40cm、1階が3cm浸水したものの、地下と1階の書籍約2万冊などを2階へ移す対応を行い、図書の被害はなかったとのことです(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201910/CK2019102802000112.html)。

一方、わが党の代表質問で「県教育委員会の文化財防災マニュアルに示されているのに、少なくとも休館や当日の体制強化を確認した時に、市が収蔵品の上階への移動を判断・助言できなかったのか」と質問したのに対し、「防災マニュアルに水害への備えとして収蔵品の移動は定めていなかったため、市から移動のアドバイスもしなかった」という主旨の答弁がありました。

「マニュアルにないから移動しなかった」と言いますが、マニュアルに定めていなかったことこそ問題です。市民ミュージアムの危機管理マニュアルには、そもそも「水害への備え」どころか、火災や地震についても、収蔵品の扱いに触れた項目はありません。それどころかそもそも美術館・博物館としての特殊性をふまえた記載は一つもありません

マニュアルの「基本編」には、「基本マニュアルはアクティオの受託施設の危機管理の総体としての枠組みを示すもの」とあり、「順次施設の危機管理マニュアルの整備を進め」る、とあります。しかし、後を読んでも一般的なことしか書いておらず、美術館・博物館の特殊性に触れた項目は一切ありません。

各地の美術館等では水害が予測されたら収蔵品を移動させているのに、なぜ市民ミュージアムの危機管理マニュアルには、災害時の収蔵品の対応方法など、美術館・博物館の特殊性に即した項目が一切ないのか、伺います。危機管理マニュアルに水害時の収蔵品の定めがないなど、美術品の扱いに触れた項目がないと知りながら、なぜ改善を求めなかったのか、伺います。

答弁1(市民文化局長)

収蔵品に関する災害時のマニュアルについての御質問でございますが、市民ミュージアムにおきましては、開館以降、排水ポンプなどにより、台風などの大雨に対応してきたところでございまして、当館の「消防計画」においては、大雨、強風等に係る事前準備として、士のうや排水ポンプの点検、人員体制の強化などの対応を定めております。

収蔵品につきましては、温度湿度管理など、それぞれの特性に応じた最適な条件での保管が必要となるため、収蔵庫内での管理を前提としており、リスクを伴う収蔵品の移動は想定しておらず、指定管理者に対してマニユアル等の改善指導は行ってこなかったところでございます。

質問2 市は、なぜ危機管理マニュアルの改善を求めなかったのか(片柳)

「消防計画に大雨の時の土のうとポンプの対応が書いてある」という答弁でした。私が聞いたのは「危機管理マニュアルに美術館・博物館としての特殊性について触れた項目が一つもない」ということです。リスクを伴うから想定していなかったのではなく、そもそもリスクの評価の形跡すらないことを指摘しているのです。

ミュージアムの指定管理仕様書には、「指定管理者は、貴重な文化遺産・歴史遺産を損なわないよう、専門的知見に従って適切な保管や修復を行う…特に文化財については、文化庁の通知等に基づき、適切に取り扱う」と書いています。

市民ミュージアム 1

2013年8月19日付の文化庁の通知では「多発する局地的豪雨などによる浸水や漏水などについて、周辺環境に応じた対策を十分に講じ、事故等の発生を未然に防ぐ」などと書かれています。

市民ミュージアム 2

また仕様書の別の項目では「資料等の保管は、科学的・技術的に必要な条件を満たす方法によって行うこと。地震や火災など想定される危険に対する安全対策を図ること」も求めています。

それなのに、水害の際の備えがマニュアルになく、美術館・博物館の特殊性に即した項目もなかったのですから、仕様書に違反した状態が放置されてきたということになります。

市はモニタリングして、この状況の改善を指示すべきでしたが、その責任をどうとらえているのか、伺います。これまでの対応と、今後の対応はどうするのか伺います。

答弁2(市民文化局長)

浸水への対応についての御質問でございますが、当館では、これまで消防計画に基づき、台風などの大雨に対応してきたところであり、指定管理者にマニュアルの改善を求めることはいたしておりませんでした。

しかしながら、今回、市民の大切な財産である収蔵品に大きな被害が生じ、歴史的、文化的な資産を段損してしまった責任につきましては痛感しているところでございます。

今後の市民ミュージアムにつきましては、浸水した現状、洪水浸水想定区域など立地条件をはじめ、施設の老朽化や収蔵品の状況、等々力緑地再編整備などの課題を踏まえながら、施設のあり方について抜本的な見直しを行ってまいります。

意見2(片柳)

川崎市の文化や歴史を物語る、他にはかえられない貴重な26万点の収蔵品を持つ市民ミュージアムの危機管理マニュアルが、まったく専門性を欠いていたことを指摘してきました。

県教委の文化財防災マニュアルも、世界の美術館や国内の図書館も上階に収蔵品を移動させ、文化庁の通知にも「豪雨災害での浸水」の指摘があるのに、市民ミュージアムの危機管理マニュアルには大雨のとき、地震のとき、火災のときに、収蔵品をどうするのか、何の記載もないのはどういうことでしょうか。

鬼怒川が決壊した水害は2015年9月です。市民ミュージアムの指定管理は2017年4月からですから、これらの通知やマニュアルなどを生かして改めることができたはずです。その責任に真摯に向き合い今後のミュージアムのあり方検討にも取り組んでください。よろしくお願いします。

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