片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党前川崎市議会議員
市議会傍聴レポート(議会活動報告)

台風19号―河港水門から港町地域への出水、川崎市の責任は

2020年3月11日

3月10日の川崎市議会予算審査特別委員会で、以下の5点について質問しました。

①一斉休校措置-非常勤の教職員の給与補償を、②八丁畷駅前踏切の拡幅、③休日診療所の施設整備、④台風19号にかかわり河港水門とJR京浜東北線ガード部からの出水とその対応について、⑤市民ミュージアムの被災について
です。

今日は「④台風19号-河港水門とJR京浜東北線ガード部からの出水とその対応」前編として、河港水門の部分を報告いたします。
(議事録ではありません。正確には後日発表される議事録をご覧ください)

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質問1 1974年も河港水門から出水 46年もなぜ放置したのか(片柳)

 狛江市で堤防が決壊した1974年の水害の時にも河港水門から周辺地域が浸水しています。今回も同じ河港水門から出水したことに対し、住民からは「来年以降もし、また浸水して、自分で直せと言われるなら、もう港町には住めない」などの声が寄せられています。

水門1

 河港水門は閉鎖したゲートの最上部の高さが周辺の堤防より1.34m低い構造で、ゲート最上部を基準とすると台風19号時の最大水位は33.5cm上回って出水したと報告されています。

1974年の水害を機に2年後に制定された河川構造令第51条は「水門のゲートの閉鎖時における上端の高さは、水門に接続する堤防の高さを下回らないものとする」としており、河港水門の構造は明らかに不適格です。さらに20条で求める1.5mの「余裕高」を合わせた計画高水位から見れば、閉鎖時の水門ゲートは1.35mも低くなっています。

水門2

 前の河港水門での出水から45年経ちます。さらに河川構造令が制定されてからは43年間、違法な状態で放置してきた市の責任が問われざるを得ません。なぜこれだけの長期間改善しなかったのか伺います。

答弁1(建設緑政局長)

河港水門についての御質問でございますが、

河港水門につきましては、昭和3年の完成でございまして、昭和51年10月1日に施行された「河川管理施設等構造令」附則第2項の経過措置の規則によりますと、構造令施行の際に現に存する河川管理施設等に該当するため、構造令の適用は受けないものとされておりますが、一方で、同附則では、構造令の施行後に改築を行う場合には、適用を受けるものとされております。

次に、当該施設の改築につきましては、水門背後地への船舶の利用が続いており、ゲートの上部嵩上げなど構造変更を行うことで、船舶の利用に支障が出る恐れがあつたこと、水門ゲートの高さが多摩川の計画高水位を満たしていたことなどから、これまで、ゲートの改築を行わなかったものでございます。

今後は、来年度から船舶利用がなくなるなど、水門機能を見直すことが可能な状況になることから、今回の浸水被害を踏まえ、水門ゲートの嵩上げなどを行い、被害の軽減に努めてまいります。

質問2 河港水門は「構造令の施行前に作られたから適用されない」は通用しない(片柳)

「構造令の施行前に作られたから適用されない」との答弁ですが、河港水門は河川構造令の立法事実となった1974年の水害時に越水したのです。「既存不適格」を理由にその河川構造令に違反する状態のまま43年間放置してきたのは行政の不作為と言わざるを得ません。1974年の越水の事実をどうとらえ、河川構造令違反の状態を続けてきたことをどうとらえているのか、伺います。

答弁2(建設緑政局長)

河港水門についての御質問でございますが、現在の河港水門につきましては、「河川管理施設等構造令」の附則第2項の経過措置の規定により、同構造令の適用は受けないものと考えております。

今回の浸水被害につきましては、多摩川において計画高水位を超える状況の中、河港水門等から多摩川の水が溢れたものと考えており、現在、詳細な原因や対策について検証を進めているところございます。

昭和49年の台風第16号による多摩川の増水によって、川崎河港運河が氾濫したことは把握しておりますが、河港水門の構造との因果関係などについては、確認できておりません。

意見2(片柳)

1974年以降の46年、どこかで河港水門のかさ上げを行っていれば防げた被害でした。今後、川崎市行政が同様の被害をうまないよう、対応にあたっていただくようお願いします。

質問3 水路(船溜まり)部分をスポーツと洪水対策の機能を持つ施設に

次の質問です。

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河港水門の中長期対策として、水門機能の見直しや河港水門周辺の土地有効活用などが挙げられています。1974年の水害でもこの水路部分から港町地域に浸水したことから、地元町会などが「埋め立てて公園にしてほしい」と要望して「港町公園」の設置が実現した経過があります。

港町 過去港町 現在

港町は、元は多摩川の河川敷だった地域で土地が低く普段から大雨の時には水が溜まりやすいと住民のみなさんから声が寄せられています。現在も残されている船溜まりの部分について今後利用予定はないとのことですので、普段は市民のスポーツなどにも利用でき、大雨の際に洪水対策のできる遊水地とするなど、市民のために活用する方策を検討すべきと思いますが、伺います。

治水地形分類図

答弁3(建設緑政局長)

河港水門の浸水対策についての御質問でございますが、中長期対策といたしまして、治水機能の向上に向け、今後の水門のあり方について、スーパー堤防化、水問機能の見直し、河港水問周辺の士地有効活用の観点から、庁内関係部署をはじめ、多摩川の管理者である国や、水門利用者及び地元関係者などと検討してまいります。

片柳すすむ

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