片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党前川崎市議会議員
市議会傍聴レポート(議会活動報告)

「差別のない人権尊重のまちづくり条例」(素案)パブコメ結果についての審議

2019年11月14日

きょう11月14日の川崎市議会文教委員会で、「(仮称)川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」(素案)についてのパブリックコメント結果についての報告がありました。
とりあえず今日のところはブログで質問項目のみ報告します。答弁については荒いメモだけしかありませんので、のちほどUPしたいと思います。
委員会のときに使用した資料についても後程UPします。

■共産党は「人権条例素案」にどういう立場で臨むのか

質問に先立ち、私たちの立場について申し上げます。
川崎駅前でのある団体の宣伝行動の参加者が、昨年8月には民族名を指して「暴れるな○○人」と書いた横断幕を掲げました。また今年8月の同じ団体の宣伝行動にも、民族名をあげて「射殺せよ」と書いたプラカードが掲げられました。先月10月20日にも同じ団体が宣伝行動を行いました。
2016年5月、差別を受けた当事者のみなさんをはじめ、広範な市民や各政党・会派も超党派で反対の声を上げるなど、世論の広がりを受けて「ヘイトスピーチ解消法」が成立したのに、その後もこうしたことが数カ月に一度繰り返される、その中で、こうした差別的言動にさらされている当事者の皆さんの思いはいかばかりだったでしょうか。
私たちはヘイトスピーチは許さないという立場で富士見公園のときも平和公園のときも川崎駅でも毎回、あらゆる場に立ってヘイトスピーチ反対の声をあげてきました。議会の中でもガイドラインの迷惑要件を外すことなどを求めてきました。
今回の条例素案に対して私たち日本共産党市議団は、この間の当事者の皆さんをはじめ広範な市民の皆さんの運動が、今回の条例案の提案に結びついたことを心から歓迎するものです。また私たちは「罰則があるからといってその点のみで反対しない」「罰則もありうる」という立場でこの間臨んできました。それと同時に罪刑法定主義を定めた憲法31条の適正手続き、構成要件の明確化をはかる、ここを丁寧に見なければ条例が憲法違反と認定されかねないのだから、明確にするという立場で臨んできました。こうした立場から、今日も順次質疑をさせていただきます。

■(2)本邦外出身者~の部分について

①まず「本邦外出身者」の部分です。当初「類型」のなかに含まれていた「特定国出身者等」という文言が、「本邦の域外にある国又は地域を特定し、当該国又は地域の出身であることを理由として」という記述に改められて、本文の中に追加されました。なぜ構成要件として不明確と考えたのか、変更によりどのように構成要件は明確になったと考えるのか。伺います。

②意見番号「172」では、「本邦の域外へ退去」とされていたのが、パブコメの結果「その居住する地域から退去」と変更されました。その理由は「構成要件を明確にした」ため、とのことです。従来の「本邦の域外へ退去」だとどう不明確で、変更によりどう明確になったのか、伺います。

③また、この「居住する地域」にはどういったレベルのことが考えられるのでしょうか。「川崎区などの区域」「川崎市などの市域」さらには「県域」や「日本全体」も「居住する地域」に含むのでしょうか。

④「あおり」と「煽動(せんどう)」
私たちは前回の文教委員会でも「あおり」という概念は構成要件としてはあいまいだと指摘しました。今回「あおり」から「煽動」へと変更されましたが、どのような点で構成要件として不明確だったと考えているのでしょうか。また「煽動」だと、構成要件はどのように明確となるのでしょうか。

⑤「侮蔑(ぶべつ)」と「侮辱(ぶじょく)」
こちらも前回指摘して「侮蔑」という文言が「侮辱」へと変更されましたが、「侮蔑」はどのような点で構成要件として不明確で、「侮辱」だと、どのように構成要件が明確となるのか。伺います。

■(3)勧告・命令・公表について

私たちも求めた通り、1回目の違反・勧告の後、2度目と3度目の違反についてこれまでは「同様の違反行為が・・・」とされていましたが、パブコメ結果を受けて「同一の国又は地域の出身であることを理由として、地域を定めて、勧告の日から6月間…」と変更されました。また「公表・罰則」の前に「差別防止等審査会」の意見を聴くという項目も加わりました。これらは前向きのことだと受け止めています。

⑥同時に「勧告」「命令」の前のところに、『緊急を要する場合で「差別防止対策等審査会」の意見を聴くいとまがないときはこの限りではない』との項目が加わりました。
前提として確認したいのですが、ここで差別防止対策等審査会の意見を聞くとしているのはなぜか、憲法の保障する表現の自由を不当に侵害しないため、ということで良いのでしょうか。

⑦「緊急を要する場合」とはどういう場合を想定しているのでしょうか。

⑧「緊急の場合は審査会の意見を聴かなくてもよい」という規定だが、その場合でも「審査会の意見を聴いた」場合と同様に、6カ月間「勧告」「命令」の効力が発行するのでしょうか。

⑨この「緊急の場合」かどうかは、誰が判断するのでしょうか。

⑩「地域」の規定
意見番号「211」について、市の回答で違反行為をしてはならない地域を定めるとされているが、「地域」とはどういうことでしょうか。例えばAという人物が、川崎駅前である本邦外出身者Bさんに対して「居住する地域から退去させることを煽動する」言動があった場合の勧告内容として「川崎区と幸区では不当な差別的言動を禁止する」とされたとして、同じ本邦外出身者Bさんに対して、武蔵小杉駅で同じAという人物が不当な差別的言動を行わった場合には「勧告」から「命令」には進まない、ということになるのでしょうか。

⑪「対象」の規定
意見番号「214」、対象が以前と異なる場合というのはどういう意味でしょうか。認められて「勧告」とされた不当な差別的言動の対象とされたのが個人だった場合に、次にその家族が不当な差別的言動の対象とされたとしても、別の違反行為とされて「命令」には進まないのでしょうか。

⑫市民からの情報提供 意見番号「215」、市民からの通報や情報提供は受けるが、市の判断材料は市が収集した情報と映像・音声の記録のみになるということでしょうか。

⑬市民の通報や提供された情報はどのように参考にされるのか、あるいはされないのか。市民の提供した情報を市が確認して認めれば、改めて市の収集した情報とされて判断材料になりうるということでしょうか。

■その他の質問

⑭意見番号「159」、「この条例が規制する行為については、刑法上の脅迫罪、名誉棄損罪などの適用が想定されるが、その成立要件などをふまえ、この条例に罰則規定を設けてまいります」とされているが、どういう意味でしょうか。

⑮意見番号「159」、「解釈指針」はいつまでにどのような形で作成するのでしょうか。

⑯意見番号「200」、保護法益について。「居住する地域において平穏に生活する権利」を保護法益とするとのことですが、誰の保護法益となるのか、個人なのか、個人をこえた集団なのか、社会なのでしょうか。

⑰意見番号「110」、「相談窓口」について。文章を見るとインターネット対策に限定されているように読めるが、ここで設置に向けて検討するとされている「相談窓口」は、他の項目(障害、性自認、性的指向、性別などなど)は含まれないのでしょうか。

⑱質問番号「94」、民間における差別禁止、朝鮮学校の扱いなどについてですが、6年前と思いますが外交問題と理由に県が朝鮮学校への補助金をカットして、市もそれに合わせて補助を廃止しました。国際的にも民族教育を受ける権利は認められているのに、外交問題を理由としてその権利を侵害することは許されない、と私たちは求めてきました。これは不当な差別的取り扱いになるのではないでしょうか。さらに、幼保無償化では認可外施設やベビーシッターまで対象とされているのに、朝鮮学校など各種学校は対象から外されています。これが「目的に照らしてやむをえない」「社会通念から見て合理的な取扱い」と言えるのでしょうか。

(⑱の意見)この間朝鮮学校の現場を見て話を伺ってきました。経常費補助がなくなってから時間も経過し、この間の台風でも大変な雨漏りの状況でした。歴史ある学校なのに、学年自体が空白になりかねない状況です。「不当な差別的取扱い」としか言いようのない中での切実な要求にぜひ対応してほしいと思います。

片柳すすむ

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