片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党川崎市議会議員
活動レポート

火災事故再発防止・安全安心の居住政策を―日本共産党川崎市議団の取り組み

2015年7月24日

日本共産党が発行する雑誌「議会と自治体」に、私の投稿した記事が掲載されました。「議会と自治体」から転載いたします。

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「住居」となっていた簡易宿泊所の火災事故

5月17日、川崎区日進町の簡易宿泊所で火災が発生し、死者10人、負傷者18人(5月27日現在)の被害を出す重大な事態となりました。お亡くなりになった方々に心からのお悔やみを申し上げるとともに、被害にあわれた方々に心からお見舞いを申し上げます。

今回火災のあった地域は、この4月まで市議を務めていた宮原春夫さんの自宅のある地域です。宮原前市議は「くらしの相談センター」を軸に、地域住民や簡易宿泊所利用者などの相談活動に取り組み、後にのべるような実績をあげてきました。私は、この宮原前市議の活動を引き継いで、今期から市議を務めています。

川崎区の簡易宿泊所は、高度経済成長期における京浜工業地帯の労働者の一時の居所として、1953年から営業をはじめました。1959年までに32軒が開業、当時の利用者は3955人、そのうち労働者は3307人、60歳以上は54人、生活保護など要保護者は53人という構成でした(川崎ビジネス旅館組合「組合設立50年のあゆみ」から)。1980年代頃から様相が変わり、「バブルのはじけたツケは大きく、建設現場の仕事はなくなり多くの人たちは福祉に身を寄せた」「平成に入り…福祉のお客さんだけで『商い』をしている…」(『50年のあゆみ』)というように、一時的な居所のはずの簡易宿泊所を「住居」として、生活保護を受給することが常態化していきました。

再発防止もとめて市長申し入れ

今回の火災の原因はいまだ明らかになっていませんが、市による立ち入り調査などを通じて、いくつかの問題点が浮き彫りになってきました。

第一に当該宿泊施設が2階建てとして市に届出をされながら、実質は3層の吹き抜け構造になっており、違法建築の疑いも指摘されていることです。第二に、火災発生以前に市消防局や保健所などが立ち入り検査を実施しており、両宿泊所とも3層構造となっていることを把握していたにもかかわらず建築指導課には通知していなかったことです。第三に、旅館業法に位置づけられる一時的な宿泊先であるはずの簡易宿泊所で、高齢者らが生活保護を受けて長年暮らしていることです。

日本共産党川崎市議団は、6月5日に市長宛にこの間の調査と論戦をもとに再発防止と「簡易宿泊所の火災にあたり、安心安全の居住政策を求める申し入れ」ました。

申し入れ事項は、

(1)「建築物及び建築物の使用に関する違反防止対策協議会」[i]を実効性あるものとする。まちづくり局・消防局・健康福祉局は、立ち入り調査や生活保護受給者との面談などの機会に消防法や建築基準法違反の状態を知りうる立場にある。これらの情報を、関係する健康福祉局・消防局・まちづくり局が共有し、指導・改善をすすめること。
(2)住居が定まっていない人が生活保護を受ける際に、安易に簡易宿泊所などへの入居を勧めるのではなく、アパートへの直接入居を勧めること。その際に障害となる保証や資金・生活習慣の改善などの問題に市が責任を持って対応すること。
(3)高齢の生活保護受給者の中には特養ホームへの入居が必要な人なども存在することから、特別養護老人ホームを緊急に増設すること。
(4)市が居住の安定確保の公的責任を果たすこと。

生活保護受給世帯のうち公営借家に住む世帯の割合は、政令市全体では17%だが、川崎市は11%と低くなっている。川崎市営住宅の応募倍率は低いところでも4倍、高いところでは200倍近い倍率となっており、圧倒的に市営住宅が不足している。安価に利用できる公営住宅を借り上げ住宅もふくめて整備すること、福祉住宅を整備すること。

 の4点です。以下、この申し入れの元になった市議会での質問等を紹介します。

関係部局の連携で消防法・建築基準法違反の防止を

2014年6月24日、宮原春夫市議(当時)は無届けの貧困ビジネスの問題について質問を行いました。

この貧困ビジネスの事業所は、川崎区内でNPO法人が「自立支援センター」として行っているもので、元居酒屋だったマンションの1フロアを区切って個室として使用し、生活保護受給者などを住まわせていました。フロア全体で消防法違反が12件、建築基準法違反が7件の違反がある19室に12名の生活保護受給者が入所していました。こうした実態について、宮原市議は「法律違反の住居を野放しにすれば人命にかかわる問題であると同時に、知らなかったでは済まされなくて、川崎市が貧困ビジネスに加担することになると思います。急いで退去指導すべき」と追及しました。

また宮原市議は、この物件に対し、2013年10月に消防局、12月にまちづくり局が立ち入り検査を行ったものの、2014年5月まで健康福祉局が違法の物件であるという情報を知らなかったことを重ねて指摘、市は「縦割り行政」ではなく情報を共有して、こうした違法物件に生活保護受給者を紹介すべきではないという対応をするべきだ、と求めました。さらに、早急に消防局とまちづくり局と健康福祉局が合同して改善策を急ぐこと、転居指導を進めることを強く要望しました。

2015年5月26日に市が開いた簡易宿泊所火災事故対策会議では「今回の火災事故が起きるまでの本市の対応について、各局の連携が万全であったとは言えず、二度と同様な事故が起きないよう、各局間で緊密で迅速な連携を図り、情報共有が徹底されるよう検討を行う」ことが課題として確認され、その後29日に「建築物及び建築物の使用に関する違反を防止するために、環境局、健康福祉局、消防局、まちづくり局及び関係部局が個別に得た情報を効率的かつ的確に共有し、連携を図り、総合的な対策を推進すること」を目的とする対策協議会が設置されました。

再発防止の重要な取り組みであり歓迎するものですが、市議団の「法律違反の住居を野放しにすれば人命に関わる」という指摘を重く受け止めて、こうした対応がもっと早く行われていれば、と思わずにはいられません。

市は簡易宿泊所の三層部分に居住する生活保護受給者の方について、速やかに転居をすすめるという対応をとっていますが、この間貧困ビジネスを行なう事業者が、その三層部分の住民に「ウチに来ないか」などと誘いをかけているとの実態も報告されています。今回問題に名手いるのは、簡易宿泊所ですが、今後は無届けの貧困ビジネスなどにも、市がイニシアチブを発揮して消防法・建築基準法違反を厳しく是正することが求められます。

生活保護受給者のアパートへの転居を

日本共産党市議団は、簡易宿泊所はあくまでも旅館業法に位置づけられる「宿泊所」であり、長く住み続ける「居住の場」ではないことから、これまでも、居住する生活保護受給者の中で希望する方には、簡易宿泊所から民間アパートへ転居をすすめるよう求めてきました。

また、転居の際に障害となる保証人がいないことや、ご本人が抱える生活習慣の改善などの問題に、市が責任を持って対応することを求めてきました。ホームレス状態の方が生活保護を申請するときに、安易に簡易宿泊所を紹介せず直接アパートへの入居をすすめることも求めてきました。

2013年3月7日の予算審査特別委員会で、宮原市議(当時)は「仕事を探しにハローワークに行きますと、現住所が簡易宿泊所だというだけで断られるケースが多いと仄聞します。本当に自立を支援しようとすればアパートに移ることも必要」と就職支援・自立支援をすすめる立場から転居支援の強化を求めました。さらに「住居が定まっていない人が生活保護を受けるときに、川崎市は安易に簡易宿泊所を紹介するというケースがこれまであったのが、安易に簡易宿泊所を紹介しないで、アパートに住める人がいればそちらを紹介することを新年度から早速実施していただきたい」と、これまで「まずは簡易宿泊所に入居を」という実態だった、ホームレス状態にある人の生活保護申請への市の対応を、改めるよう求めました。

こうした論戦を背景に2013年度から、物件紹介や関係機関との連絡調整、転居後の日常生活の支援など、生活保護受給者の民間アパートへの転居をすすめる5人の居住確保支援員が配置され、その支援などで14年度までに219人がアパートに転居しています。さらに今回の火災を受けて市は転居支援員4人と生活支援員1人を配置して、簡易宿泊所の三層部分に居住する生活保護受給者を最優先に、転居と生活改善への支援をさらに強める見通しです。

簡易宿泊所に長く住み続けている生活保護受給者の中には、管理人や近隣の宿泊所の友人と「家族同様」という関係になっている方も多くおられます。また「飯場と簡易宿泊所でしか生活したことがない」というような方もおられます。ですから、民間アパートなどへの転居には、ゴミ出しなどの生活のマナーやルール、近所づきあいなどの生活支援が欠かせません。

6月に簡易宿泊所の三層部分利用者を対象に行われた簡易宿泊所利用意向調査によると、回答者243人のうち、「簡易宿泊所から転居したいですか」という質問にたいし、「いいえ」「どちらでもよい」と答えられた方が合計113人いました。これらの方が「転居したくない理由」としてあげられたのが、「簡易宿泊所には帳場や仲間がいる」52人、「金銭管理には自信がない」19人、「アパート生活の仕方がわからない」20人、と多くの方がアパート生活に不安を抱えておられます。

6月25日の代表質疑では私は、こうした人も安心してアパート生活をスタートできるよう、生活支援員を手厚く配置して、丁寧な支援を強めるべきと強調しました。

劣悪な生活環境改善、市営住宅の増設を

今回の簡易宿泊所火災を通じて、生活保護受給者の方々の住居があまりに劣悪な状態であることが明るみに出されました。川崎区の簡易宿泊所は、築50年前後の木造三層構造が大半です。風呂・トイレは共同、自炊はできない、冷房はなく扇風機やヒーター類も禁止というところが多数をしめています。部屋は2畳から3畳の広さで「横になると足が部屋からはみ出る」というような部屋もあります。

簡易宿泊所のみならず、川崎市は全国的に比較しても生活保護受給者がもっとも劣悪な条件で生活しているという実態があります。

「生活保護受給世帯の居住実態に関する調査の集計結果」(厚生労働省)から政令市を比較してみると川崎市は、床面積の平均、最低居住面積基準を満たしている住居の割合、設備条件を満たしている住宅の割合、いずれもワースト2位です。

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住生活基本計画(全国計画)が「住宅困窮者が多様化する中で、住生活の分野において憲法第25条の趣旨が具体化されるよう、公平かつ的確な住宅セーフティネットの確保を図っていくことが求められている。…市場において自力では適切な住宅を確保することが困難な者に対して居住の安定を確保する住宅セーフティネットの構築のための施策の充実を図っていくことが必要である」としているように、市が先頭に立って、低廉で良質な住宅を増やす役割が求められますが、川崎市の実態はどうでしょうか。

生活保護受給世帯のうち、公営住宅に住む世帯の割合は、全国では19%、政令市全体では17%ですが、川崎市は11%(政令市ワースト5位)と大きく遅れています。また、川崎市営住宅の空き室の応募倍率(一般世帯向け)は低いところでも4倍、高いところでは200倍近い倍率となっており、市民の需要から見ても圧倒的に不足しています。

市営住宅が不足しているのは、川崎市の住宅政策が住宅供給を民間任せにしてきたことに原因があります。革新市政時代には市営住宅を増やし、民間住宅を借り上げて市営住宅並みの家賃で提供してきました。しかし革新市政の後は、古くなった市営住宅を建て替えるときに限って、わずかな戸数を増やすのみで市営住宅の新期建設は行なわれなくなりました。こうした結果、川崎市の全住宅に占める公営住宅の割合は80年代の5.1%から、08年には3.6%にまで落ち込んでいます。「住宅は福祉」という立場で、安価に利用できる公営住宅を借り上げ住宅もふくめて整備すること、福祉住宅を整備することが必要です。

6月3日、日本共産党の本村伸子衆院議員が川崎区日進町の火災問題を取り上げて質問を行なった際に、太田国土交通大臣は「住宅に困窮するこうした低額所得者等の居住の安定を確保するためには、公営住宅等の公的賃貸住宅の整備、これは大事な問題」と答弁し、公営住宅の整備が重要だという認識を示しました。

こうした国会論戦も力にして、市が住宅政策に公的責任を果たすよう引き続き求めていきます。

今回の簡易宿泊所火災の件で問題になったことのうち、(1)市の各部局の連携で住宅にかかわる違法をなくすこと、(2)希望する簡易宿泊所に居住する生活保護受給者の民間アパートなどへの転居をすすめること、(3)市は公営住宅の増設はじめ安全安心の居住政策に公的責任を果たすこと、の3点を取り上げてきました。これらはいずれも憲法25条の保障する「健康で文化的な」生活を営む権利が問われる問題です。市民が安心して暮らせるよう市議団の総力を上げて力を尽くす決意です。


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