片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党前川崎市議会議員
市議会傍聴レポート(議会活動報告)

川崎市の幼稚園の費用負担軽減を―予算審査特別委員会質問

2018年3月8日

3月7日、市議会予算審査特別委員会(全議員で構成しています)で質問しました。6つのテーマを取り上げましたが、今回は幼稚園の費用負担軽減について取り上げます。


質問① 大田区11万・世田谷区9万―川崎市も入園料補助創設を

幼稚園の費用負担軽減策についてこども未来局長にうかがいます。

本市の幼稚園にかかる費用は他の自治体と比べて高く、費用の平均額を政令市で比較すると入園料・保育料ともに最も高くなっています。初年度納付金で見た場合、51万518円で政令市平均34万2579円の約1.5倍、もっとも安い静岡市の26万653円の2倍にあたります。

スライド1

3年保育の場合で考えると本市の納付額は123万5318円。政令市平均より32万4991円、もっとも安い静岡市と比べると51万7513円多く払っていることになります。

代表質問でも指摘したように貧困線じたいが下がるなかで、幼稚園への入園者は漸減傾向にあります。3年間の利用者実数を反映した予算ベースでは、幼稚園の入園者はD・Eランクも6~7%程度の減少を見込みますが、およそ年収270万円までのBランクは10%減、同じく360万円までのCランクは8%減と、比較的収入が低い層で幼稚園の利用が減っています。本来ならば「幼稚園を利用したい」という方が、経済的な負担のために利用できずに他のサービスを利用せざるを得ないという現実があることは明らかであり、対応が求められます。

川崎市の幼稚園入園料の平均は14万8118円。東京では多くの自治体が入園料補助をもうけており、23区内では大田区が最大11万円、世田谷区は最大9万円の入園料補助を行っています。比較的少ない方の北区や練馬区でも4~5万円を補助しています。本市も入園料補助を設けるべきと思いますが、伺います。

答弁①―こども未来局長

私立幼稚園の入園料に対する補助についての御質問でございますが、私立幼稚園保育料等補助金は、私学助成を受ける私立幼稚園に幼児を通園させている保護者を対象に保育料を補助することにより、経済的負担を軽減し、幼児教育の推進を図ることを目的としているものでございます。
都市部におきましては、私立幼稚園の保育料は、国の補助水準より高い水準であることは認識しており、本市では従来から市独自での上乗せ補助と、国の補助対象とならない世帯に対しましても単独補助を行い、保護者負担め軽減に努めてきたところでございます。
今後につきましては、政令指定都市など、他都市動向を踏まえながら、幼稚園の入園料に対する補助のあり方について、検討してまいりたいと存じます。

質問② 「年収の1割が幼稚園の費用に」という家庭も…幼稚園保育料補助の増額を

国の就園奨励金に上乗せされている、本市独自の加算額は、Dランク1人目で年額4500円、Eランク1人目で4万8千円です。しかし、これを含めても家計に対する負担は大変重くなっています。年収680万円以上のEランクも、実費負担が大きく大変な実態であり、現在の本市のEランクへの独自加算は重要です。

「年収の中にどれだけ幼稚園の費用がしめるのか」という観点で見ていきたいと思います。

スライド2

これは、1枚目で示した本市の幼稚園の平均保育料から補助額を引いた年間の「実質負担額」が、子ども1人の場合で年収の何%になるのかを示したものです。

年収270万円から360万円までのCランクを見ると、新年度からCランクで国の補助が増額されますが、それを含めても年収270万円の方は年収の6.5%、360万円の方でも全収入の4.9%が保育料にかかっていることになります。
Dランクは年収360万円から680万円までと幅が広く、ぎりぎり360万円を超えた世帯でも680万円の方と補助額は同じということになり、年収の8.2%を保育料に費やさざるを得ない、ということになります。680万円の方でも決して軽いわけではなく4.4%がかかっています。

この表では1人の場合ですが、C・Dランクともにお子さん2人を同時に幼稚園に通わせている世帯の場合、家計にしめる負担率は1割を超えるケースもあります。このCランクとDランクが、Eランクよりも家計に占める負担割合が重いという逆転現象を、負担を軽減する方向で解消することが求められています。

スライド3

本市のCランク(年収270万~360万円)と、先ほど例に挙げた大田区を比較すると、本市は独自加算ゼロですが、大田区は東京都とあわせて15万円余を補助しており、国の補助とあわせて年間33万7,600円にのぼります。第1子、第2子とも国基準の「無償」以下で幼稚園に通えます。

本市の保育園不足が深刻化しています。「経済的な負担さえなければ幼稚園に通いたい」という子育て世帯を支える施策を、周辺自治体並みに整えるべきです。国は順次、幼稚園の無償化を進めるということですから、少なくともそれまでの間、本市が先んじて独自に無償化や重すぎる教育費の負担を軽減する策を講じるべきです。本市独自にC・Dランクへの支援が求められます。Cランクに独自の加算を行い、国の無償化基準とされている30万8千円となるようにすべきです。伺います。

スライド4

Dランク(年収360万~680万円)についてですが、本市は年収360~680万円までのDランク一人目について4500円を独自補助していますが、横浜市はこのランクにあたる世帯には独自に4万5千円を補助しています。大田区は都と区あわせて13万8千円を補助しており、国との合計で20万200円となります。Dランクでは少なくとも横浜市並みの補助に増額すべきです。こども未来局長に伺います。

答弁②―こども未来局長

保育料等補助金についての御質問でございますが、
国では、すべての子どもに質の高い幼児教育を保障するため、幼児教育の無償化に向けた取組を、低所得の多子世帯やひとり親世帯から、段階的に推進しているところでございます。
本市におきましては、国の取組を着実に実施するとともに、 D及びEランクの世帯につきましては、小学校1年生から3年生までの兄や姉がいない一人目の園児に対し、市独自の上乗せ補助及び単独補助を実施しているところでございます。
今後につきましては、国が進めている「幼児教育・保育無償化」についての動向を注視しながら、幼児教育に係る保護者の経済的負担の軽減を図るために、市独自の上乗せ補助を継続してまいりたいと存じます。

意見要望 最も高い川崎市こそ補助拡大を

 入園料については、政令市の動向を踏まえるとの答弁でした。しかし政令市の中で10万円以上の入園料がかかるのは、本市と横浜市のみで、その次に初年度納付金の高い大阪市も入園料は5万円です。入園料補助に踏み出すよう要望いたします。
 「私立幼稚園の保育料が国の補助水準より高い水準だと認識している」との答弁もありました。国が無償化基準としている30万8千円の補助があっても、本市の幼稚園の保育料は平均36万円とそれを上回ります。川崎区のある幼稚園では年少42万円、年長で44万円余りの保育料が設定されており、30万8千円の補助が出たとしても毎月1万円前後の負担となります。
 「国の動向をみながら、市独自の補助を継続する」との答弁でしたが、大田区はすべてのランクで1人目9万6千円、2人目以降10万2千円を区独自に補助しています。政令市で幼稚園の費用負担がもっとも重い本市の実態をふまえ、市独自の補助拡大を求めます。
 以上で質問を終わります。

おまけ

Eランク(川崎市では680万円以上)の比較表も作りましたが、議場では使いませんでした。せっかくなので掲載しておきます。

スライド5

片柳すすむ

ブログ新着記事

  • ブログ過去の記事

リンク

PAGE TOP